中国の国有鉄道である中国国家鉄路集団(国家鉄路)は8月31日、2022年1~6月期の半期決算を発表した。売上高は4857億元(約9兆7659億円)と前年同期比5.3%減少。純損益は804億元(約1兆6166億円)に上る莫大な赤字に陥り、損失額は前年同期の507億元(約1兆194億円)より6割近く増加した。
赤字拡大の要因は、言うまでもなく新型コロナウイルスの流行の影響だ。2020年に新型コロナの流行が始まって以降、国家鉄路は2020年の通期決算で555億元(約1兆1159億円)、2021年同498億元(約1兆13億円)の赤字を計上した。
憂慮すべきなのは、2022年1~6月期の半年間の赤字額が、2020年および2021年の通期損失を上回る規模に膨らんだことだ。その理由について国家鉄路は、1~6月期は新型コロナの局地的流行が中国各地で多発し、鉄道経営に広範囲な影響をもたらしたためとしている。
新型コロナの打撃の大きさは、国家鉄路の輸送実績に端的に表れている。1~6月期の旅客輸送人員は延べ7億8700万人と、前年同期比42.8%減少。新型コロナの流行が始まる前の2019年には通期の旅客輸送人員が延べ36億人に達していたのと比較すると、落差はさらに大きい。
北京-上海間のドル箱路線も赤字転落
1~6月期には、国家鉄路の最大のドル箱路線である北京―上海間の京滬旅客専用線(京滬線)も深刻な苦況に陥った。上海証券取引所に上場している運営会社の京滬高速鉄道は、1~6月期決算で10億2800万元(約207億円)の純損失を計上。2020年1月の株式公開以降、半期ベースの赤字決算はこれが初めてだ。
京滬高速鉄道の説明によれば、1~6月期は京滬線の沿線にある複数の地域で、新型コロナの局地的流行が頻発。なかでも始点および終点の上海と北京で(外出制限などの)厳しい防疫対策が長期間にわたり実施されたことが、同社の業績にかつてないほど深刻な打撃を与えたという。
激減した旅客輸送とは対照的に、貨物輸送は一定の成長を確保した。国家鉄路の1~6月期の貨物輸送量は19億4600万トンと、前年同期比5.5%増加した。
例えば、山西省大同市と河北省秦皇島市を結ぶ石炭専用線の運営会社である大秦鉄路は、1~6月期の決算で73億元(約1468億円)の純利益を計上した。国内産の発電用石炭の需要増加が、同社の経営を下支えした格好だ。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は9月1日
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