脱炭素ベンチャー「アスエネ」急伸する3つの秘訣 CO2排出量を可視化、情報整理の負担を7割軽減

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 最新
拡大
縮小

「すごいベンチャー100」2022年最新版から7社をピックアップ。「ESG」領域からは、排出量可視化のサービスを手がける「アスエネ」を拡大記事で紹介する。

アスゼロの画面。簡単な操作でCO2排出量を可視化(写真:アスエネ)

特集「すごいベンチャー100 2022年版」の他の記事を読む

2050年までにカーボンニュートラル(炭素排出量実質ゼロ)を目指す――。日本を含む120以上の国と地域でそんな目標が掲げられ、多くの企業が対応に迫られる中、「脱炭素」の新市場で存在感を高めるベンチャーが登場している。

ブロックチェーン技術を用いて再生可能エネルギー100%の電力を販売してきた、2019年設立のベンチャー・アスエネもそんな1社だ。同社が市場投入した新サービスが、企業による二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量の算定・開示ニーズをとらえて急成長している。

アスエネは2021年8月、独自開発のAI(人工知能)を活用してCO2排出量を可視化する法人向けクラウドサービス「アスゼロ」を発売。電気料金の請求書やガソリン代のレシートなどをスキャンするだけでCO2排出量の算定・報告を自動化できる。

その簡便さが評価され、アスゼロの売り上げは「毎月2.5倍のペースで伸び続けている」(アスエネの西和田浩平CEO)。リリースから11カ月後の2022年7月末時点で、アスゼロの利用企業数は約350社。提携金融機関は27にのぼり、遠くない将来の株式公開やアジア展開を見据える。

排出量把握は「一丁目一番地」

週刊東洋経済 2022年9/17-9/24合併号[雑誌](すごいベンチャー100 2022年最新版)
『週刊東洋経済 2022年9/17-24号[雑誌](すごいベンチャー100 2022年最新版)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

日本では2020年10月、当時の菅義偉首相が「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、脱炭素化への取り組みが一気に加速した。

さらに2021年10月にイギリスで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)を前に、日本は2013年度比で2030年度に温室効果ガスの46%削減という新たな野心的目標を掲げた。

CO2排出量の把握は、企業がカーボンニュートラルを実現するうえでの「一丁目一番地」だ。最近では、自社でのエネルギー使用時のみならず、原材料の製造や輸送、製品の使用時などにおける排出量(いわゆるスコープ3)の算定ニーズも高まっている。

次ページ排出量の算定・開示は実に煩雑
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
すごいベンチャー100 2022年版
全26社を「時価総額」と「営業損益」でランキング
約400社の企業価値を一覧、5年前との比較も
グーグル、ペイパルなど米国の巨人も買い手に
セブンドリーマーズは2019年に破産手続き開始
パビリオン・キャピタルの日本担当者を直撃
米国で20年ベンチャー投資、WiL伊佐山氏の提言
治療アプリの「キュアアップ」に70億円出資
脱炭素ベンチャー「アスエネ」急伸する3つの秘訣
CO2排出量を可視化、情報整理の負担を7割軽減
「すごいベンチャー100」2022年最新版・全リスト
全社総力取材、これが未来のユニコーンだ!
「テスラ超え」誓う、令和発EVベンチャーの潜在力
将棋AI開発者と自動運転のプロがタッグで起業
「過酷な検品」を変える産総研ベンチャーの新境地
AIの難点を克服し「不良品サンプル」なしで実現
アパレル店員の「賃上げベンチャー」が生む次の波
自己資金だけで流通総額1380億円に到達の異例
「エンタメ企業をWeb3化」ガウディが生み出す熱狂
バンナムやサンリオも頼る「NFT活用の伝道師」
「南場氏の大叱責」で奮起したYOUTRUSTの針路
転職活動を「呼吸くらい自然に」、人材SNSの挑戦
「脳ドック」をITで価格破壊、楽天役員OBの目算
「MRIシェアリング」ベンチャーが医療を変える
新星「Web3」「ESG」ベンチャーが放つ異色存在感
Gaudiy、アスエネ、テイラー…注目業界の25社
ファンの熱量高める場を構築
排出量把握の負担を軽減
サブスク店の予約・決済管理
データで選手の技術向上支援
ブロックチェーンゲーム開発
企業のメタバース構築を支援
独自運営のブロックチェーン
NFT化でデータに価値を
モバイルアプリなどの開発
「パブリックチェーン」の開発
CO2可視化で「標準」狙う
再エネの収支を一括管理
独自の統計手法で透明性確保
ESG経営をクラウドで支援
小型水処理プラントを販売
戦略的プライシングの実行支援
AI活用による店舗支援SaaS
CFO向け経営管理クラウド
ERPシステム構築の効率化
紙の郵便物をクラウド保管
スポーツファンのための賭博
サッカー選手への道を平等に
スポーツを通じて分析力向上
CO2排出量集計を効率化
太陽光を初期費用無料で
完全自動運転車開発の新鋭
検品作業の自動化ソフト
企業向けのセキュリティ訓練
脳ドックをITで価格破壊
エネルギー密度高い電池開発
AIが安全運転をサポート
市販向け垂直離着陸機を開発
「空飛ぶクルマ」を開発
船舶の自律航行技術を開発
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内