婚活弱者だった「海外駐在員」に追い風が吹くナゼ 初対面でプロポーズというケースも

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――駐在員と現地採用の違いはあっても、オンラインの活用は必須のようですね。

先日結婚した30代の海外駐在員は実際には一度も会わずに真剣交際まで進み、コロナの規制が解けてから対面で会ってすぐにプロポーズしました。両親の顔合わせもオンラインで済ませたそうです。帰国してから無事に入籍しました。

――すごい時代ですね。リアルで会わないまま結婚式を迎える夫婦が出てきたりして……。

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最近、感染対策でマスクをしたままお見合いをして、仮交際に進んだ後からビックリするという「マスク事件」が業界で多発しています。

それに比べると、オンラインでデートを重ねたほうがお互いの素顔を知りやすいのではないでしょうか。美肌補正などの機能もありますが、画面越しでも何度も会っていたら相手のことはよくわかってきます。

朝から晩までオンラインでつなぎっぱなしにするというカップルもいます。画面の前でそれぞれ食事をするので、歯並びやマナーなどもわかりますよね。

自宅の一部も見えるので、ホテルや飲食店で会うのとは違った情報を得ることもできます。オンラインでのお見合いやデートが当たり前の時代は、結婚したい海外駐在員にとっては大きなチャンスなのです。

日本にいるより有利? 海外滞在がメリットに

仕事や留学で海外に住みながらも日本人同士での結婚を希望する人は、飛び立つ前に慌てて伴侶を見つけるか、現地の狭い日本人コミュニティの中で相手を探すしかない。市原さんへのインタビュー前はそのように思っていた。

しかし、コロナ禍が状況を大きく変えたのだ。オンラインお見合いが前提なのであれば距離は関係なくなる。そして、オンライン仮交際。どちらも実際に会うよりもはるかに効率的なので、短期間のうちにさまざまな人との相性を確かめられる。「会いたくても今は会えない。帰国したときにぜひ会ってほしい」と堂々と言える分だけ、日本国内にいる人よりも有利かもしれない。

コロナ禍の影響で、海外に滞在していることがデメリットどころかメリットになる時代が到来している。禍福は糾える縄の如し。市原さんへのインタビューを終えて、この成句が頭に浮かんだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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