奇跡を起こす人が一瞬のひらめきに頼ってない訳 “没頭すること"が新たな価値創造につながる

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創造的イノベーションが生まれるには一貫したパターンがある(写真:mits/PIXTA)
「自分には語学の才能がないから」「ウチの子は数学向きの頭をしていない」「スポーツにはそもそも向いていない」……などと言って、自分や他人の可能性を諦めてしまった経験はないでしょうか。
イギリスの人気ジャーナリストにして、世界的ベストセラー『失敗の科学』『多様性の科学』の著者マシュー・サイドは、それら「人の能力は生まれつき決まっている」論を真っ向から否定。彼の原点となる著作『才能の科学』において、スポーツ・ビジネス・学問・芸術などあらゆる分野を横断しながら、「人と組織の可能性を解放し、飛躍的に成長させる方法」を科学的に示しています。
「才能がない」と諦める前に知っておきたい、「成長する人と組織の共通法則」とは? 同書より一部抜粋、再構成してお届けします。

人間のわざが限界をむかえるには何百年もかかる

人間のわざはやがて必ず自然のなり行きをたどるとよく言われる。つまり遅かれ早かれ、可能性の天井に誰しも頭をぶつけることになるのだ。数学——物理学や解剖学はいうまでもない——の基本原則から見て、走る速度を永久に上げ続けることはできない。100メートル走の記録が毎年10分の1秒ずつ速くなり続けたとしたら、やがてはスタートを告げる銃が鳴る前にゴールのテープを切るはめになってしまう。

だが、この分析はごく単純な作業については真実かもしれないが、複雑性を特徴とする活動についてはどう考えても当てはまらない。複雑な作業では、人間のわざが揺るぎない限界らしきものにぶち当たるには、まだ何世紀も、ひょっとしたら何千年もかかる。

それは特別な不変の目的を持った、意欲的なチャンピオンたちによる「目的性訓練」がつねにつくりこまれ、改善されているためだけではない。技術と利用のパラダイムシフト——まったく予期せぬイノベーション——とでも言うべきもののせいでもある。

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