マンションの資産価値に「管理」が重要になる理由 「管理計画認定制度」「適正管理評価制度」とは?

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もう一方の「マンション管理適正評価制度」は、一般社団法人マンション管理業協会が創設し、認定主体も担う評価制度である。

マンション管理業協会は民間の団体で、マンションの健全な管理体制の確立のためのさまざまな活動を行う法人・個人で組織された業界団体である。管理委託契約に関する重要事項の説明などを行う、「管理業務主任者」の国家資格試験を執り行っていることでも知られている。

管理状態を数値化し、今後の改善点が明確に

マンション管理適正評価制度では、制度で高評価を得ることで居住満足度が高まり、居住者が安心して暮らすことが可能になることを目的としている。マンション管理の状態を数値化することで、今後の改善点を明確にできる利点も掲げている。

適正管理評価制度が管理の「モノサシ」となり、マンションの管理を良好にし、市場(資産)価値も高めていけるためだ。マンション管理に力を入れている、入れたいと考えている管理組合にとって、非常に利用価値が高い評価システムが定められたと言えるだろう。

【管理認定の基準】
1. 管理体制◆20ポイント(管理者の設置、総会の開催、議事録の作成 規約の整備状況など)
2. 管理組合収支◆40ポイント(管理費会計の収支、修繕積立金会計の収支、滞納管理費等の対策、修繕に関する資金計画の状況など)
3. 建物・設備◆20ポイント(法定点検の整備、長期修繕計画書の有無、修繕履歴の保管)
4. 耐震診断◆10ポイント(耐震診断実施の有無、耐震診断の結果、改修予定の有無)
5. 生活関連◆10ポイント(設備等異常時の緊急対応、消防訓練の実施、防災マニュアル等の整備状況など)

(出所)一般社団法人マンション管理業協会HPを基に筆者作成

マンション管理計画認定制度よりも項目が多く、現在の管理組合などのソフト面、建物や設備の維持管理などハード面を網羅した評価項目を用意。項目ごとのポイントを点数化、6段階の星の数でランク化を図り、よりわかりやすい評価となっている。なお、有効期間は1年間だ。

マンション管理適正評価制度についてもインセンティブの導入が検討されている。損害保険料の引き下げ、共有部分の修繕に関わる金融機関融資の優遇などが議論されているところだが、今のところ本決まりには至っていない。取り組みの強化に向け、検討会も開催されている。今後の行方に期待したい。

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