サイバー藤田流、「荒療治人事」の狙いは? 好調アメーバ事業の人員を半分入れ替え

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同事業の1600人のうち、半分の800人を異動させるという大規模人事に、社員は仰天した。稼ぎ頭のチームも例外ではなく、「突然の異動に戸惑う人も少なくなかった」(ある現役社員)。

今でも、異動社員の多くが新規事業立ち上げなどに携わっており、コスト先行が続く。アメーバに次ぐ新サービスを生まなければ、単なる人件費の付け替えにすぎない。

それでも藤田社長に手を緩める気配はない。2014年11月には10年以上親しまれた緑のアメーバ型のロゴを変更すると決定。「古いイメージを引きずらず、新たなブランドを構築する」(藤田社長)。4月には新ロゴを披露する。

人事という武器を最大限に活用

1998年に藤田社長が創業した同社も、今や社員数3000人を超える、メガベンチャーに育った。「とにかく変化に慣れることが求められる」(別の現役社員)というように人事制度は極端だ。

年末年始に大規模な宣伝を始めた、スマホ向けトークアプリ「755」。ライブドア元社長の堀江貴文氏との合弁会社が展開しているが、社長は何と入社2年目の社員が務めている。抜擢人事などは日常茶飯事で、執行役員10人のうち3人が毎年交代、28歳の取締役も誕生した。

いわば、「人事」という最大級の武器をここぞという場面で利用、緊張感を保つことで社内を掌握している。むろん、人事に成功・失敗はつきものだが、今まで成果を残したのも事実だ。「藤田社長には“博才”がある。勝ち逃げできる時期を見極める判断が絶妙」(証券アナリスト)。

好決算でもなお続きそうな予測不能の藤田流人事。サイバーエージェントの社員はどこまで食らいつけるか。

「週刊東洋経済」2015年2月21日号<16日発売>「核心リポート05」を転載)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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