日本のチョコ企業「森林破壊防止」で低評価の理由 児童労働への対応も遅れ、欧米企業と対照的に

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明治や森永、グリコなど、日本の大手チョコレートメーカーのサステナビリティに関する成績表は落第点だ。低評価の背景には、カカオ豆をめぐる森林破壊や児童労働などへの対応の遅れがある。

カカオ農家の労働は過酷で、所得は著しく低い。写真はカカオ豆の袋詰め作業(マイティ・アース提供)

明治や森永、グリコなど日本の大手チョコレートメーカーは軒並み低い評価となった――。

欧米のNGOや研究者が2022年4月、チョコレート企業や商社のサステナビリティ(持続可能性)を調査した「世界チョコレート成績表2022」を発表した。

同調査で浮かび上がってきたのが、日本企業の取り組みの遅れだ。調査対象38社のうち日本企業は6社含まれ、欧米企業並みの評価を得たのは不二製油グループ本社のみだった。明治ホールディングスや森永製菓、江崎グリコといった大手チョコレート企業は回答企業のうちで軒並み最低の評価となった(スターバックスコーヒーなど非回答企業を除く)。

森永製菓や江崎グリコは低評価

成績表の調査対象企業は世界のカカオ豆取引量の約8~9割を占めている。トレーサビリティ(追跡可能性)や児童労働、森林破壊などの6分野で構成され、各分野の設問の合計点を積み上げ、合計点ごとに「業界をリードしている」「方針が良く、実施に移し始めている」「方針設定と実施にもっと取り組む必要がある」「業界に追いつく必要がある」といった4つのランクで評価している。

日本企業の中でも、森永製菓や大東カカオ、江崎グリコの3社は総合評価のみならず、すべての個別評価項目においても「業界に追いつく必要がある」とされた。伊藤忠商事と明治ホールディングスも、総合点では回答企業のうちで最低評価の「業界に追いつく必要がある」という結果だった。

では、いったいなぜ日本企業の評価は低いのか。その要因の根底には、カカオ豆をめぐる森林破壊や児童労働などの問題への対応の遅れがある。

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