コロナで留学中止から2年、留学復活のシナリオ データで浮き彫りになった過去最低の留学者数

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関西学院大学は、海外協定大学への留学者数が毎年上位に入る(2018年度は1位)留学に力を入れている大学として知られています。

同大学、国際連携機構事務部課長の鳥山直子氏に派遣留学の状況について話を聞きました。

「昨年度は、渡航に制限がある中オンライン留学が主流であった。本年度に入ってからは派遣型の留学にシフトしている」と鳥山氏は話します。

2022年度の春学期派遣(1セメスター以上)の実績数は、合計140名を海外に派遣。内訳は、交換留学など学生手配の留学が37名9カ国・地域に派遣、大学手配のグループ留学は103名をカナダ・米国・スペインの3カ国に派遣という実績ということです。

また夏季の短期グループ留学の方も約200名をアイルランド・イギリス・マレーシアなど6カ国に派遣予定であるほか、学部等が提供するプログラムでも約80名・7カ国の派遣を予定しているそうで、実際に渡航する留学が復活している様子がうかがえます。

短期留学の特徴として、例年は1年生の出願が多いそうですが、今回は2年生以上が多かったということで待ち望んだ学生が渡航していることがわかります。

コロナ前の状況にはまだまだ戻っていない

2022年度秋学期の派遣予定者数も、交換留学など学生の個別手配が145名・27カ国・地域に予定、大学手配のグループ留学は213名・13カ国に派遣予定と、前述の個人留学と同様に今まで待っていた学生を中心として飛び立っているようです。

ただ、まだ2019年以前のような状況には至っていないと鳥山氏は言います。

「アメリカやカナダの場合は、ホームステイを受け入れる大学も今までは多かったのだが、受入先のホストファミリーの減少により滞在のアレンジが困難になってきている。プログラムの内容も以前と同じ内容ですべて実施できているわけではないが、条件を満たしたものから開始しているという状況」

同大学では、留学支援の取り組みとして、海外留学特別奨学金を新設しています。

これは、当初希望していた低学年時での留学が叶わず、1学期以上の留学プログラムへの参加時期を変更するために4年の在学期間での卒業が難しくなる学生を対象として、5年目の学費1学期分または2学期分相当額の奨学金を支給するというもの。渡航中の学生含め、複数の問い合わせを受けているそうです。

同大学では特に情報提供に力を入れていて、LINE、Instagram、TwitterといったSNSやオンライン説明会のアーカイブ配信などに力を入れています。現在の大学の課題としては、ようやく渡航ができるようになった中で、学生に対していかに留学に目を向けてもらうかだと鳥山氏は話します。

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