16代目クラウンが何とも大胆な変身を遂げた意味 目指すのはレクサスにもベンツ、BMWにもない境地

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同時に、大型モーターの搭載を可能にするためリアサスペンションをマルチリンク式としている。駆動力は最大で80%まで後輪に配分できるので、前輪だけに引っ張られるのではなく後ろから押し出すような、自然な加速感が得られるという。自然吸気エンジンを備えるTHSⅡはシステム最高出力234ps、上級モデルに搭載される新開発のデュアルブースト・ハイブリッド・システムは同349psを発揮する。

製品企画担当者によると、新しいデュアルブースト・ハイブリッドはアクセルペダルを少し踏み込むだけで遅れなく加速するので、従来のTHSⅡのようにもたつく感覚がなく楽しいという。

インテリアやシートには物足りなさも

意欲的な意匠の外観や、走行性能に影響を与えるコンポーネンツの充実に比べると、インテリアは目立った特徴に乏しい。大型12.3インチ・スクリーンを中心に、水平基調のダッシュボードで扱いやすさを重視、という意図は理解できるものの、抑揚に富んだ外観デザインの勢いやモチーフが、室内に何も流れ込んできていない。

シート自体の品質は悪くなさそう(長い時間座ってみないと本当のところはわからない)だが、ダッシュボードやドア回りを固める樹脂パネルの品質感や色調の選び方には、高級車としてはもう少し工夫があってよかったかもしれない。

ドーム状の長いルーフは、展示車の場合黒いファブリックで一面覆われていた。グリーンハウス(窓から光が差し込む面)自体が小さいので、少々圧迫感があるのは否めない。フロントにオプションで電動スライディングルーフを装着することもできるが、レクサスで展開されているルーフの大部分をカバーするパノラマルーフが備われば、開放感はかなり高まると思われる。

なお、新型のグレード構成に関してだが、ベーシックな「クロスオーバーX」は車格のわりに430万円と安価なのが特徴であるものの、ディスプレイ・オーディオと大型スクリーンは装着されず、シートもすべて手動調整になり、自慢の21インチ・ホイールも19インチにグレード・ダウンされてしまう。ほかの装備も俯瞰すると、今回のクラウンの新しさを味わうなら、少し無理をしても「Gレザーパッケージ」(540万円)以上のグレードを選ぶのが得策だろう。

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