スルガ銀行、株主総会「抽選制」についた物言い 株主の出席可否をめぐり法廷闘争にまで発展

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抽選制導入の契機となったのが2021年の総会だ。総会当日には、出席を希望する投資用不動産オーナーなどの株主が早朝から列をなした。248人の株主が出席したが、「社会的距離確保の観点から、一部の株主には出席をお断りすることになった」(広報担当者)。総会中には株主が議長に詰め寄る場面もあり、感染予防を理由に審議を打ち切った。

投資用不動産オーナー以外の株主にも出席の機会を担保することや、会場内での「三密」を避ける観点から、2022年の総会では出席株主を抽選で決めることにした。定員は206人で、抽選の実施は外部業者に委託。スルガ銀が当落を恣意的に決める余地はないという。

スルガ銀への揺さぶりも

こうした対応に異議を唱えるのが、同行の株主でもある不動産オーナーたちだ。議決権行使こそ郵送やインターネットでの行使が可能だが、株主提案理由を説明し、会社側と直接質疑応答を行うには、会場に出向く必要がある。抽選制が採用されると、総会に出席して議題・議案に関する説明を求めたり、意見を陳述したりする権利が奪われると危惧する。

投資用不動産オーナーたちは、スルガ銀行に抽選制をやめるよう求めた(記者撮影)

不動産オーナーたちが会場出席を求める理由には、シェアハウス問題が実質的な代物弁済によって区切りを迎えた一方で、1棟の中古アパートやマンションの債務はいまだ着地点が見えていないことも挙げられる。オーナーを取りまとめる弁護団とスルガ銀との交渉は膠着状態が続いており、オーナー側が総会出席や株主提案を通じてスルガ銀に揺さぶりをかける意図が透ける。

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