あなたが良かれと出す「話題」に若手は引いている 部下がうんざりする先輩の年齢自虐ネタの痛さ

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部下・後輩・年下がいる場の緊張をほぐしたいなら、リラックスし、普通に会話をしましょう。ギャグやダジャレで笑わせてやろうと肩に力を入れたり、「無礼講だ!」とガソリンを注ぐのではなく、とりとめもない雑談をし、適宜メンバーに話を振る、ぐらいにとどめます。

「上」の立場に期待される役割は、「場を盛り上げること」よりも、むしろ「治安の維持」です。

酔っ払ってからんでいる人はいないか、嫌な思いをしているメンバーはいないか、会話がヒートアップしすぎているテーブルはないか、と目を配る。「まあまあ」となだめ、「こっちで話そう」と引き取る。これが正解です。

みんなが安全に快適に過ごせるように目を配り、心理的安全性を担保することこそが、飲み会における「上」のお仕事。ヤヤウケするオヤジギャグではありません(笑)。

ポイント:「下」なら言わないギャグは、「上」も言ってはいけない

昔話から「今の子はさ~」となるのは最悪パターン

昔話①
× 「私たちの頃はさ〜」と内輪で盛り上がる
〇 「昔話していい?」とエクスキューズする

「私たちの頃は、ほら、超氷河期だったから」

「そうそう。『100年に一度の大不況』とか言われて。マジかよーって」

「俺らが若い頃なんて、まだ今の管理システムになってなかったし」

「わー、懐かしい! 入力とか超めんどくさかったよね」

部下・後輩・年下と話していて、「自分たちの頃と違うなあ」とショックを受けて、反射的に自分たちの世代で昔話に興じてしまう人がいます。

懐かしいあの頃。楽しかった日々。苦い経験すら、今はいい思い出。ああ、自分たちはがんばった、よく生き抜いた……。そうやって互いの健闘をたたえ合い、信頼を確認し合う。悪いことではありません。職場・コミュニティーの醍醐味とも言えます。ですが、それを「下」がいる場でいきなりやるのは、不正解です。

まず大前提として、内輪ウケはよくありません。相手としては、知らないことばかりだし、関心だってありません。「へー、そうなんですか?」「その頃のこと聞かせてください」と前のめりになってくれるわけがないのです(そういう人がいたとしても、レアケースと思っておいたほうがいい)。

さらに、そういう昔話が危険なのは「なんだかんだ言って、今の子たちは恵まれているよね」「そうそう。なんかエネルギーを感じない」など、「下」の世代への批判に発展しかねないところ。相手としては、昔話がつまらないことは百歩譲って我慢するとしても、いつ説教されるかわからないとなると、表面上はニコニコしていても、心の中では「早く終わってくれないかな」と祈るような気持ちに。

とはいえ、久しぶりに同期と話せて興奮することもあるでしょう。「下」との世代ギャップを共有したい気持ちもわかります。

部下・後輩・年下の前で昔話に興じる際の正解は「ちょっと昔話していい?」「同期トークしていい?」とひと言断ることです。

次ページ誰しも内輪ウケ話や昔話はしたくなる
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