ペットを売らないペットショップが当然になる訳 動物愛護管理法の規制が年々強化されている

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従業員1人当たりの飼育頭数の上限については、新規業者が2021年6月から繁殖業で「犬15匹、猫25匹まで」、販売業で「犬20匹、猫30匹まで」。一方、既存業者はやはり段階的な導入で、2022年6月から繁殖業で「犬25匹、猫35匹まで」、販売業で「犬30匹、猫40匹まで」となり、2024年6月からは新規業者と同じ規制が適用されることになっている。繁殖年齢についても犬猫とも原則「6歳まで」とし、新規、既存業者とも2022年6月からの導入となる。

コロナ禍の巣ごもり需要のひとつであろうか、ペット需要の高まりや、こうした規制で業者側の負担が大きくなることもあり、ペット価格の高騰が続いている。事業者団体からは、経営的に苦しくなり、廃業する者も出てくるという懸念の声が聞こえるが、動物愛護団体からは価格が高くなれば、飼い主が安易に購入することが減り、動物の愛護につながるという声も聞かれる。

価格が高騰すれば富裕層しかペットを飼えなくなるという意見も聞かれるが、筆者の周りのペット愛好家に入手方法を聞くと、保護犬・保護猫の譲渡を受けたという人が年々増えている。いのちある動物を店に陳列し、モノのように販売することをおかしいと思う消費者が増えているのだろう。

フランスではペットの店舗販売が禁止に

2021年11月、フランスでペットとして飼われている動物が捨てられるのを防ぐため、2024年から犬や猫の店舗での販売が禁止されるというニュースが話題となった。フランス議会が動物の扱いに関する法律の改正を可決し、2024年からペットショップなどでの犬や猫の販売禁止を決めた。飼いたい人はブリーダーからの直接購入や、保護施設からの引き取りなどに限られることになるのだ。

また、衝動買いによってペットが捨てられることを防ぐため、購入してから7日間は解約を可能としたうえで、購入者には飼育に関する知識があることを証明する書類への署名も義務づける。

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