MacBookAir登場「アップルが明かした取り組み」 今秋に「iPhone」の使い方がガラッと変わる

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そこでiPhoneやiPad、Macといったアップル製品同士で手軽に共有・共同作業ができる仕組みを用意することで、新たに定着したデジタルコラボレーションを、日常の中の不便解消の仕組みとして取り入れようとしている。アップルユーザー同士での利便性を高めることになり、プラットフォームへの囲い込み施策と見ることもできる。

超クールな「自動車機能」の背景

最後に、次世代版CarPlayについて紹介しておこう。

CarPlayは、自動車のUSBポートとiPhoneを接続、もしくは無線接続することで、カーインフォマティクスとiPhoneを連携させる機能だ。もう少し簡単に言えば、自動車のスクリーンをiPhoneが乗っ取り、地図やナビゲーション、音楽、Podcastなどのエンターテインメント、メッセージの音声でのやり取りなど、iPhoneの体験を安全に実現する仕組みだ。

WWDCの基調講演によると、アメリカで販売される新車の98%がCarPlayに対応し、アメリカの自動車購入者の78%がCarPlayに対応しているかを考慮するという。新世代のCarPlayでは、これまでのナビやエンターテインメントだけでなく、より深く自動車の情報と連携し、エアコンの調整、カーラジオなどの操作に対応。

新世代CarPlayは、自動車メーカーとより深い連携を通じて、ブランドごとの表現を実現するという。対応車種は2023年後半登場の予定(筆者撮影)

さらに車速やギアなどの情報も取得して、リアルタイムに走行データを表示するスクリーンを用意するなど、これまで以上に深いデータを自動車とiPhoneとの間でやり取りすることを前提としている。

その理由は、これまでのCarPlayが「iPhoneすぎた」ことにある。

CarPlayはiPhoneが自動車のディスプレーとマイク、スピーカーを、いわば乗っ取る技術だった。そのため、フェラーリであろうがBMWであろうが、スズキの軽自動車であっても、ディスプレーにはiPhoneでおなじみのアイコンが、同じデザインで並ぶことになる。

今後、スクリーンがクルマのインテリアの大きな部分を占めるようになる中で、スマートフォンとつながる利便性のために、クルマの体験やブランドを表すディスプレーのデザインを犠牲にすることは難しくなっていくだろう。その対策もあり、次世代CarPlayを自動車メーカー各社と深い連携で作り込んでいく戦略を打ち出すことにしたのだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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