「わざわざ○○する」が周囲の信頼度を上げるワケ された人は「ありがたい気持ち」が湧いてくる

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「for Me」は連鎖を生まず、「for You」は連鎖を生んでいきます。「誰かや何かのために」というスタンスで、ある目的(=想い)の実現に向かって、自分の得意なことや好きなことをベースにした専門性で貢献していくという姿勢。それに人は引き寄せられます。

自分1人では実現できないようなことも叶えられるようになっていきます。「for You」を追求しながら仕事をしていくことで、人生が充実して豊かなものになっていくのではないでしょうか。

フランス人作家のサン・テグジュペリの「星の王子さま」にこんなフレーズがあります。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」。

目の前のものや人の背景にある想いや、それが生まれるまでにかかった時間や手間など、目に見えるものの背景や意味などを想像することが大切です。プロジェクトに携わっている人の動きの背景にある想いや、アウトプットに要したプロセスや時間などを想像することはとても大切です。なぜなら、互いにそういう視点を持てば、専門性に対するリスペクトは増していき、唯一無二のチームワーク感が生まれるからです。

マネジメントをする立場の人は、メンバーの先にいる人の存在に想いを馳せることです。メンバーが既婚者で子どもがいる家庭を持っているのであれば、家族のことまで考えるようになると、専門性を発揮していく環境に多様性が生まれ、活躍しやすい環境にどんどんなっていくはずです。

「わざわざ」で信頼貯金が積み上がる

信頼関係を深めていく際に、とても大切にしたいものがあります。それは「わざわざ」というものです。しかも、「わざわざ喜んで」「わざわざ自分勝手に」という感じの動きであれば、普通は行われない「自分らしい動きのプラスα」になっていくわけです。わざわざやればやるほど、その人の行動の蓄積は自分らしさが磨かれ、際立っていき、信用貯金が積み上がっていきます。

もらったメールの内容に、「わざわざ」自分のためを思って書いてある一文が添えられていた。メールやチャットで済ませられるのに、「わざわざ」電話をかけてきてくれた。「わざわざ」手紙を書いてきてくれた。郵送すればよい届け物を、「わざわざ」持ってきてくれた。オンライン会議でも済ませられるのに、「わざわざ」会いに来てくれた。

そういったことをされた側としては、「申し訳ないな」という気持ちと同時に、ありがたい気持ちになります。

「わざわざ」には、その人のために時間を使って調べたり、考えたり、動いたりした軌跡があります。その軌跡がわかると、その人に対して、好意や信用が生まれるのは間違いありません。

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