ロンドン「女王陛下の鉄道新線」で何が変わるか 都心横断「エリザベス線」開業、新たな大動脈に

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路線名称は、女王の名にちなみ「エリザベス線」と命名された。地下鉄の路線図には、紫色をシンボルカラーとした新たな線区が書き加えられている。

開通式典に出席したエリザベス女王(中央)(写真:(c) Crossrail Ltd)

開通予定日の1週間前となった5月17日、新規開業部分の起点であるパディントン駅で開催された式典には、路線名の由来となったエリザベス女王(96)がサプライズ出席し、市民を大いに驚かせた。この式典で女王は、自身の三男ウェセックス伯爵エドワード王子を伴い、明るい黄色のドレスをまとって登場。杖をついてはいたものの、元気な姿を見せていた。新規開業部分は当面、日曜は運休するが、6月5日に予定されている女王の即位70周年式典「プラチナ・ジュビリー」当日は、女王に敬意を表して運行されることが決まっている。

開業1番列車には長蛇の列

では、市民は開通日をどう過ごしたのだろうか。

驚くべきことに、前日の夜から1番列車乗車を待つ人々も出現。新規開業部分の起終点となるパディントン、アビーウッド両駅には早朝の段階で長い列ができた。

開業日にパディントン駅前に集まった市民ら(写真: (c) Crossrail Ltd)
エリザベス線パディントン駅への地下通路(写真:(c) Crossrail Ltd)

ロンドンでは昨年9月、地下鉄ノーザン線を2駅延伸した「バタシー・エクステンション」と呼ばれる新区間開業があったが、この際は鉄道ファンらが深夜バスに乗って新駅に三々五々集まるといった雰囲気だった。一方、今回はうって変わって、雨が降り気温も低かったにもかかわらず1番列車に乗ろうとする一般市民が大挙して集まり、関心の高さをうかがわせた。

開業による所要時間の短縮は顕著だ。パディントン―アビーウッド間の新規開業区間全線を乗り通しても約21kmをわずか29分で走破し、パディントン―カナリーウォーフ間は従来の地下鉄利用に比べて約半分の17分に短縮される。その一方で、運賃は従来の地下鉄ネットワーク利用時と基本的に同水準だ。

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