安倍政権はいつまで最悪の政策を続けるのか 民主党時代もひどかったが実質賃金はプラス

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中東から帰国した安倍首相。アベノミクスの成否が問われているときに、人質問題でも難しい対応を迫られることに(ロイター/アフロ)

私は2012年末に第2次安倍内閣が発足する前から、「過度な金融緩和は悪性インフレをもたらすので、絶対にやってはいけない」と言い続けてきました。

過度な金融緩和を行ってしまうと、たとえ物価を上昇させることができたとしても、国民の実質賃金は上がるどころか、むしろ下がってしまうだろうと確信していたからです(「東洋経済オンライン」で初めてこの問題を取り上げたのは、2012年12月13日のコラム「過度な金融緩和は、国民を苦しめる」においてです。興味がございましたら、そちらもご覧ください。)

アメリカのインフレ政策は国民の暮らしを犠牲にした

日銀の大規模な量的緩和に賛成する経済識者、政治家、メディアなどは、「アメリカは金融危機から立ち直り、安定した経済成長を続けている。だから、アメリカの経済政策を見習ったほうがいい」という類の発言をよくしています。

しかしながら、私の見解では、「経済政策は誰のために行うのか」という命題に照らし合わせれば、そういった発言は明らかに間違っています。アメリカのインフレ経済政策は、資源価格の高騰が始まった2000年以降も、住宅バブルが崩壊した2007年以降も、アメリカ庶民の実質賃金を引き下げてきたにとどまらず、絶望的に格差が拡大していくのを助長してきたからです。

このことは、アメリカの2000年以降の通貨安に伴うインフレの歴史が証明しています。2000年を100とした場合のアメリカの名目賃金、実質賃金、消費者物価指数のそれぞれの推移を見てみると、2013年の名目平均賃金は97.5と下がっているのに対して、消費者物価指数は135.3と大幅に上がってしまっているのです。名目賃金はまったく伸びていないのに、インフレ政策によって物価だけが伸び続けてきたために、驚くべきことに実質賃金は72.4まで下がり続け、アメリカ国民の暮らし向きは悪化していく一方であったわけです。

住宅バブルの崩壊後に、アメリカ国民の名目賃金は1995年の水準に下がってしまっているにもかかわらず、2013年の時点でガソリン代が2.4倍、電気代が1.6倍、食料価格が1.4倍に跳ね上がってしまっては、庶民は余裕を持って生活していくことなどできるはずがありません。いくら自由主義経済を旗印に掲げているアメリカであっても、2011年にウオール街で大規模なデモが起こったのは当然のことだったと言えるでしょう。

次ページ大事なのは、名目賃金ではなく、実質賃金
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