「貯金も保険も一石二鳥」の変額保険はお得なのか 結局「虻蜂取らず」の残念な結果になりかねない

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なお、このツールは、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」が無料で提供しているものです。当ウェブサイトの「家計の資産形成応援ツール」にあります。

内外の株価指数に連動した定額積み立て投資の長期にわたるリスクとリターンを正しく理解していただく目的で、過去の株価データに基づいたシミュレーションをするために作成、公開されたものです。

このシミュレーション結果は、実際の投資信託などの運用商品の成績に一致したり、保証したりするものではありません(詳しくはHP掲載の注意書き等をお読みください)。

「保障」と「貯蓄」は別々に考える

『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

端的に申し上げると、戸田さんはお金の置き場所を間違えたわけです。保険は保障を目的に保つもので、保険ではなかなかお金は増えません。保障と貯蓄は別々に考えるべきでした。

でも、過ぎ去ったことを後悔しても仕方がありません。すでに支払ってしまって取り戻すことのできない費用(コスト)のことを経済学ではサンクコストといいますが、過去は忘れ、気持ちを切り替えて、お金を増やしていく合理的な方法をとりましょう。

今回のお話で行くと、やはりライフプランナーが戸田さんに新たに勧めているY社の変額年金も、お勧めできるものではありませんでした。

お金を増やす鉄則は、「長期、分散、低コスト」です。投資対象をグローバルに分散し、運用コストを抑え、長く積み立て投資を続けることです。税制優遇のある個人型確定拠出年金(iDeCo)や「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を、お金の置き場所として優先的に使うといいでしょう。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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