拝啓、「若手は褒めればいい」と信じる大人の皆様 Z世代の複雑すぎる承認欲求を知っていますか

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「いいね!」を押し合うのは、言ってみれば礼儀作法。こうして「いいね!」社交界が形成され、友達に忖度した「いいね!」が激増し、結果的に「いいね!」がばらまかれます。そんな「いいね!」でも、やっぱり「いいね!」がほしい。これも若者の性です。

友達の投稿に無心で「いいね!」を押す。SNSというオンライン社会の習慣を、彼らは職場にも持ち込みます。なにかにつけて「いいね!」がデフォルト。だからこそ、職場においても「日常のプチ褒め」が求められるのです。

SNS時代の褒めは、質より量

オトナ世代の褒めは「ベタ褒め×少量」ですが、SNS社会を生きる若者世代では「プチ褒め×大量」のほうがスタンダードなのです。

今どきの若者がよく言うのは「身内でさっくり褒めてくれればいいっす」的なコメントです。部署内のミーティング、もっというと一対一の面談なんかで、サラリと褒める。メールやチャットツールで褒めメッセージを送るのでもいい。なんか地味ですが、こういう感じが、じわじわ承認欲求が満たされるようです。若者が望んでいる褒め方とは「質より量」。至ってシンプルなんです。

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もっと言うと、褒めに至らないくらいの「プチ感謝」も、レスがあるだけで十分に効果的です。例えば、報連相には必ず「ちょい足し」して返す。言葉はなんでも構いません。「良くなったな」と褒めてもいいし、「大変だったろう」と共感してもいいし、「助かったよ」と感謝を伝えてもいいでしょう。

最後に、褒めるときに使える魔法のキーワードをお伝えしましょう。それは「やっぱり」。例えば「やっぱり、やると思ってた」と、「やっぱり」がつくことで、相手は「えっ、普段からそう思ってくれてた?」と、嬉しい気持ちが倍増します。

普段からちゃんと自分のことを見ていてくれた。これが承認欲求を満たす褒めの本質的なポイント。「やっぱり」には、そのエッセンスが凝縮されているのです。これは若手にも刺さるのです。

平賀 充記 ツナグ働き方研究所 所長

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ひらが あつのり / Atsunori Hiraga

人材開発コンサルタント/組織コミュニケーション研究家/若者キャリア研究家。1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。主要求人媒体の全国統括編集長を経て、2012年リクルートジョブズのメディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。著書に『非正規って言うな!』(クロスメディア・マーケティング)『神採用メソッド』(かんき出版)『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。
ツナグ働き方研究所オフィシャルサイト「ツナケン!」:https://tsuna-ken.com/

 

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