拝啓、「若手は褒めればいい」と信じる大人の皆様 Z世代の複雑すぎる承認欲求を知っていますか

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安易に、そして派手に、褒めればいいというものじゃない。そんな若者の価値観に近づけたとして、じゃ、どうやって褒めればいいのかという問題に直面します。

◆オトナのイライラ・モヤモヤ
しょっちゅう褒めてたら効き目がなくなるでしょ。だいたい褒めるっていうご褒美は、ここぞの時にとっておく必殺技。ウルトラマンのスペシウム光線とか、宇宙戦艦ヤマトの波動砲とか、ドラゴンボールのカメハメ波とか。だから効き目があるわけでさ。(コンビニエンスストアオーナー・大久保さん/仮名/55)

オトナの中でも上のほうのオジサンたちは、この「しょっちゅう褒めてたら効き目がなくなるでしょ」という言葉を、驚くほどよく口にします。ここぞの時の必殺技。オトナ世代はこうした昭和の褒め方に、少なからずノスタルジーを感じるんじゃないでしょうか。

レスがないのは超不安

◇若者のホンネ
職場で「アレやっときました!」と仕事の報告したとき、目も見ないで「ああ」とか、素っ気ない返事されるのとか、あーゆーのがいちばんテンション下がります。せめて「ありがとう」の一言でもあれば……。(住宅メーカー・小野田くん/仮名/24)

一方で若者の脳内には、こんな気持ちが渦巻いています。こう聞くと一理ありますよね。確かに、職場には不機嫌な顔をして働いているオトナ世代がけっこうたくさんいます。「人間の最大の罪は不機嫌である」とは、かのゲーテの名言ですが、いくら真剣に仕事に向き合っていたとしても、眉間に皺を寄せて愛想がないのは考えものでしょう。

しかし、こうした反応がないことに関する不満も、SNSコミュニケーションの発達による影響の一側面といえます。SNSでは、自分が何か投稿すれば、どんなささいな内容でも何件かレスポンスがあるというのが普通。逆にレスポンスがなかったりしたら、彼らは言い知れぬ不安に襲われます。何かおかしな投稿をした? まわりに変なふうに思われてない? そんな気持ちが増幅していきます。だからこそ、逆に友達の投稿にほぼ自動的に「いいね!」を押すのです。

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