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東証、実に「60年ぶり」の市場区分変更が示す意味 市場の変容に応じて制度設計の速度を上げよ

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東証の新市場区分が4月4日から始動した。取引所の改革の問題点は何か。さまざまな立場から意見を聞いた。4人目は、氏家経済研究所代表の氏家純一氏。

氏家経済研究所 代表 氏家純一(うじいえ・じゅんいち)1945年生まれ。75年米シカゴ大博士課程修了後に野村証券入社。97年社長。日本経済団体連合会副会長、東大金融教育研究センター長、東京女子大理事長を歴任。(撮影:尾形文繁)

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東証の本来的な役割は大きく2つある。1つは価格発見機能を充実させリスクマネーを効率的に配分することだ。もう1つは企業や産業の情報の効率的な発信・伝達を促して、企業価値を向上させることだ。今回の市場再編はこうした役割の向上に資するものに違いない。

企業価値の向上は、資本市場の言葉に言い換えれば時価総額の増大だ。今回の市場再編は、時価総額増大のプレッシャーが経営者に強くかかるようになっている。

これまでは、上場時に比べると上場維持の基準が緩かった。だが今回の市場再編で、これからは上場時も上場後も同一基準になる。これは大きい。「計画書を出せば経過措置で上場を維持できるというのは甘いのでは」という批判もあるが、この「計画書」は一般に公開され、実行状況の開示も義務づけられている。その精神的圧力は上場企業の経営者にとって大きい。上場してすぐにプレッシャーがかかるから、基準ギリギリで上場する会社は減るだろう。

腹の据わった覚悟はあるのか

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