一強多弱政治下の野党にはどのような価値があるか? 「監視役」としての価値がない可能性も

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10月31日に投開票が行われた第49回衆議院議員総選挙では、全465議席中、与党が計293議席(自民党261、公明党32)を獲得した。総選挙では、勝利政党と敗北政党、つまり議席の過半数を獲得した与党と、それ以外の野党が発生する。本稿では、とくに敗北政党、野党の立法府における意義を考えたい。

2009年の自民党から民主党への政権交代の前は、「ねじれ国会」、衆議院と参議院で多数政党が異なる状態になっていた。衆院の多数党である内閣(自公連立政権)は、なかなか法案を通せず、国会が空転することも多かった。与野党の勢力が拮抗している状況下では政策が前に進まないという問題が発生する。

一方、ここ10年ほどの日本政治においては、12年の衆院総選挙で自民党が政権を奪還し、13年の参院選でねじれが解消されて以降、野党の勢力が弱い一強多弱政治の状況が続いている。

日本の立法過程では憲法改正の発議や衆院と参院で法案の可否が異なった場合などを除き、多数決を用いる。つまり、野党がいくら反対しても、与党の党内規律がしっかりしていれば、内閣(与党)から提出された法案は多数決で可決される。実際、13年以降、自民党と公明党の連立政権が提出した法案は基本的に成立している。

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