いつの間にかゲーム屋、それもなんか面白い--南場智子 ディー・エヌ・エー社長[下]

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 「急激な成長のひずみがないとは言い切れない。リスクはつねにあると思っておいたほうがいい」。そう話していた1カ月半後の12月8日、公正取引委員会がディー・エヌ・エーの立ち入り調査に入った。ライバル・グリーにゲームを提供しないよう開発会社に圧力をかけた疑いだ。

「モバオク、モバゲーと来て、いつの間にか慢心が生まれてなかったか」。自分を問いただす南場だが、現場の把握は甘かった。それだけ社員との距離が広がっている。

NTVPの村口は「南場はメジャーになって本領発揮する人間」と言い続けてきた。思考力、国際的な人脈、英語力や巧みなスピーチ力。確かに、南場の能力はグローバルなメジャー企業の中で輝きを増す。

南場自身、「グーグルを超える」(?)メジャー化の意欲に変わりはない。だが、メジャー化すればするほど、人間力とDNAの伝播力が減衰することにもなりかねない。

南場にとって、華々しくも、悩ましい年が幕を開けた。=敬称略=

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(中村陽子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年1月8日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

なんば・ともこ
理想の経営者とか、ロールモデルはいない。遠くの高い山に向けて走るのではなく、いつも自分の目の前にちょこんと山を置いて登る。「山があると登るという、性なのよ、本当に」。引退後は芥川賞狙います、などと口走ったりするが、もちろん冗談。「たかがこの程度の実力。私の場合、とにかく100%集中しないと。水を得た魚のように見えるかも知れないけど、結構ギリギリです」。

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