有料会員限定

米国・イランのチキンゲーム、本質を知るための5大論点 世界に衝撃が走ったイラン革命防衛隊の幹部殺害

拡大
縮小

年頭から世界を震撼させた両国の対立先鋭化。激動する中東情勢の深層を探る。

街頭を埋め尽くした、ソレイマニ少将を追悼する群衆。イラン政府は求心力維持のため反米感情を利用している(The New York Times/Redux/アフロ)

ついに米国とイランが全面衝突か──。1月3日に米軍が実施した、イラン革命防衛隊のソレイマニ少将の殺害は、世界に衝撃を走らせた。

1月8日にイランが弾道ミサイルによる報復攻撃を行ったのに対し、米国が再報復をしなかったことで、ひとまず事態は沈静化したように見える。安堵感の広がりを受け、米国の株価は同9日に最高値を更新した。

しかし、両国の対立は依然続いている。米国はイランを核兵器開発の中止に追い込むため、経済制裁をさらに強化。イランでは革命防衛隊の誤射による旅客機撃墜に関して大規模な抗議デモが発生したが、背景には市民生活の窮乏化とイスラム共和制政府への不満があるとみられる。

中東情勢が流動化する中で、注視するべき事態の本質とは何か。国際政治からイラン経済まで、日本屈指のプロに見立てを聞いた。

(1) 大規模戦争のリスクはまだ消えていない
東京大学大学院教授 藤原帰一

米国とイランの対立は、より大規模な戦争につながる可能性がある。中東では、イスラム教シーア派の勢力圏でロシアの影響力が強まっている。シリアのアサド政権やレバノン南部のヒズボラ、イランなどだ。このグループと、米国やイスラエル、サウジアラビアなどとの対立構造がある。

関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内