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ローソンの危機感 3位転落からの挽回戦

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玉塚会長退任と同時に示された中期経営計画。それは一見無謀にも思えるものだった。ローソンが越えるべきハードルはあまりにも高い。

(本誌:又吉龍吾)写真:ローソンは2021年度に国内1万8000店への拡大を目指す

6月下旬のとある平日。東京・品川区にあるローソン本社7階の会議室には季節外れの光景が広がっていた。机の上にはクリスマスケーキやおせち料理がずらりと並べられている。この日は月に2度行われる役員試食会の日。年末年始に投入する商品の最終確認が行われる。正午を過ぎると、竹増貞信社長をはじめ役員たちが足早に会議室に入ってきた。

「おせちの彩りをもっと華やかにできないのか」、「野菜の鮮度をもっとよくすることはできないのか」。室内には竹増社長の声がひびく。最近までは竹増社長のそばに玉塚元一会長(当時)が座っていたが、その姿はもうない。

「2月には三菱商事による株式公開買い付け(TOB)が完了し、ローソンは三菱商事の子会社となった。われわれの事業はスピードが大事。2頭体制になるのはよくない」。4月中旬に開かれた退任会見で玉塚氏はそう語った。その後、5月末に開かれた株主総会をもって、会長職を退いた。

玉塚氏が退任を発表した日、ローソンは2021年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画を発表した。その内容は質と規模の両方を追う、あまりにもハードルが高いものだ。それでも竹増社長は「間違いなくやり切れる」と自信を示す。再編が進むコンビニエンスストア業界において「埋没するまい」ともがくローソンの危機感が伝わってくる。

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