「磯丸水産」上場で過熱する、海鮮居酒屋戦争 首都圏の駅前で"磯の香り"がつばぜり合い

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東京・秋葉原にある磯丸水産の店舗。昼間から大勢の客でにぎわっていた

東京都内の駅前を歩いていると、よく目にする居酒屋の看板がある。店の入り口付近には「トロ箱」と呼ばれる魚を輸送するための箱が積み上げられ、磯の雰囲気を演出する。店内に入ると、大きな水槽が存在感を放ち、サザエやホタテといった新鮮な貝類が食欲をそそる――。

関東圏の駅前を中心に約120店の居酒屋を展開するSFPダイニングが12月16日、東証2部に上場した。鶏料理専門店「鳥良」など複数の業態を展開している同社だが、その中でも成長ドライバーと位置づけるのが冒頭で紹介した海鮮居酒屋「磯丸水産」だ。水槽から出した新鮮な魚介を浜焼き形式で提供するのが、この居酒屋の最大の売りである。

2009年2月に東京・吉祥寺に1号店を出した磯丸は、2010年度から2012年度にかけて年間10店ペースで店舗網を広げていった。前2014年9月期は27出店と一気に拡大。同期のSFPの売上高200億円のうち、64%を磯丸事業が占めている。

“二毛作戦略”で高成長

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店内はどことなく港町の食堂の雰囲気が漂う

ここまで磯丸が成長した理由の一つが、原則24時間営業という点だ。「都心では飲食店や病院など夜間に働く方が明け方に訪れる。郊外では24時間営業の飲食店がなく、店を開け続けることが差別化になっている」(佐藤誠社長)。

実際、休日の昼間に磯丸を訪れると、海鮮丼を目当てにするシニア客に加え、夜間より安価に設定されたアルコール類を目的とする若い客でにぎわっている。こうした“二毛作戦略”も奏功し、2014年9月期の磯丸の売上高は128億円と前期比70%増を達成した。

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