画期的新薬が使えない、難病患者の知られざる苦悩

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 難病に関する医療制度を示した図を見ればよくわかる(下図)。国の難病対策の対象130疾患(臨床調査研究分野)のうち、「特定疾患治療研究事業」の対象56疾患(いわゆる「特定疾患」)に該当する場合は、医療費助成を受けることができる。これら「難病指定」を受けた病気では入院時の1カ月の自己負担額は、所得水準に応じて「ゼロ~2万3100円」。外来では「ゼロ~1万1550円」で済む。しかし、PNHは難病指定を受けていないため対象外。一般の病気と同様に、高額療養費制度を利用することになる。ところが、同制度を活用しても、多大な負担が長期にわたって続くのが実情だ。

PNH患者が所属する患者家族会「再生つばさの会」は、難病指定や高額療養費制度でさらなる医療費軽減の対象となる「特定疾病」(前ページ図)への追加を求める要望書を、厚生労働相に提出している。しかし、財源難や対象とすべき病気の線引きが困難であることを理由に、実現の見通しは立っていない。

自己負担の低い欧州諸国。日本は制度の谷間も多い

患者の医療費負担が深刻な問題となっていることは、研究者の調査でも明らかにされている。東京大学医科学研究所の児玉有子特任研究員らは、10年6月、患者の医療費負担の実態に関する調査結果(患者会約300団体を対象にメールによるアンケート協力を依頼)を公表した。

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