【産業天気図・繊維製品】デジタル、自動車関連が好調だが、原料高・景気減速が懸念材料

繊維業界の2005年3月期業績見通しは、「晴れ時々くもり」といった状況だ。
 第1四半期(4月~6月期)は、デジタル関連材料や自動車用資材、産業繊維などの高付加価値品が牽引役となった。前期までに進めてきたリストラ効果も表れ、概ね各社の計画を上回る水準で推移した。
 第1四半期の好業績を背景に中間業績予想を増額修正する企業も見られたが、通期業績については、期初予想据え置き、あるいは中間決算時まで発表を見合わせるなど、慎重な姿勢の社が多い。原燃料高の行方と影響が不透明だからだ。
 もちろん原燃料高によるコストアップ対策として、製品価格への転嫁と経費削減を進めてはいる。だが、高付加価値製品を除けば、今後の価格転嫁は必ずしも容易ではない。またPDPやデジカメなどデジタル家電市場の一部で在庫調整が始まっている点や、米国経済の減速などへの懸念も高まっている。したがって今下期から来期にかけての繊維業界は、全般的には市場環境は良好で、現時点では原油高の影響も吸収可能な範囲だが、今後さらに原油価格が上昇する場合には採算性が低下する事態も想定される。

個別企業を見ると、東レはIT関連材料や炭素繊維複合材料など先端材料事業分野をはじめ、繊維、プラスチック・ケミカルでも好採算品へのシフトで収益を拡大。さらに下期からは蝶理、水道機工が連結子会社に加わり、売上高・営業利益を押し上げる。中間予想は好業績を踏まえて増額発表済み。さらに下期も連結対象会社が増えるため、大幅な増額修正が見込まれている。第1四半期までのところ、原油高の影響(43億円)を価格転嫁と経費削減で2億円のマイナスにとどめており、今後も積極的に価格転嫁を進める方針。
 帝人は、前期から好調のアラミド繊維が牽引。化成品や樹脂、医薬医療も好調で、前期に連結対象外とした帝人製機と営業譲渡した帝人ファイナンスの減収分を補って、増収増益を見込む。ただし、原料高の影響はポリエステル繊維やポリカーボネート樹脂などで徐々に表れつつあり、メキシコ合弁会社の再建も課題で、下期見通しはやや慎重だ。来期にかけては、医薬医療では期待の新薬3剤上市が見込まれているうえ、急回復中の炭素繊維事業も本格化するため、増収増益基調は続こう。
 三菱レイヨンは、MMAモノマー、アクリル樹脂成形材料、アクリル樹脂シートなどが自動車や電子関連需要で好調。炭素繊維は値戻しが進み、採算も急回復している。衣料用繊維の一部で原料高と需要低迷で採算が悪化しているが、全体としては中間決算までの見通しは順調。下期からはプリズムシートや多機能プリンタ用ロッドレンズなどの増産が本格化する。懸念材料は衣料用繊維の低迷と需要逼迫のMMAモノマー不足。とくに後者については、価格高騰によってアクリル樹脂成形材料などの生産にも影響が出ている。11月にタイのMMAモノマー工場が1.5万トン増強予定だが、抜本的な解消は2006年の中国MMAモノマー新工場稼働まで待たなくてはならない。
 紡績業界では、日東紡がフレキシブルプリント基板向けガラス繊維で好調。値上げ効果が通期でも貢献する見通しで、通期増額を発表済み。一方、日清紡は今期から連結対象にしたCHOYAによって大幅増収だが、利益面では若干足踏み。CHOYAの在庫評価損増によるマイナスを好調なブレーキ事業で補っている。
【本多正典記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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