居酒屋で「ランチ宴会」が増えている理由 シニアとママが飛びついた絶妙な仕掛け
忘年会シーズン真っ盛り。この時期、居酒屋をはじめ夜の飲食店は客でいっぱいだ。アルコールがほどよく入り、気心の知れた仲間と過ごす宴会は老若男女問わずに楽しいもの。その平日の宴会といえば夜が定石だが、実は最近、昼のランチタイムに開かれる「ランチ宴会」がにわかに増加し始めている。
ビー・ワイ・オー(本社・東京都豊島区)が東京都心部をはじめチェーン展開する飲食店「和食・酒 えん」。その池袋パルコ店と大宮店で設定しているランチ専用の宴会コースが絶好調だ。直近のランチタイムの宴会売り上げは「昨年から5割増しになっている」(同社広報)という。
時間もおカネも余裕のあるシニアを取り込む
需要が大きいのは60代以上のシニア層。特に1947~1949年生まれで現在65歳以上の団塊世代が中心となっているようだ。かつて「2007年問題」と騒がれたように団塊世代はこの前後から大量に定年退職を迎え、ここ数年でみると、現役を引退してセカンドライフを過ごす人が増えている。
65歳以上の日本人は3000万人を突破して人口全体の2割以上を占める一方、個人金融資産の6割超を60歳以上が保有しているとされる。定年退職後の年金生活で昼間の時間にも貯蓄しているおカネにも一定の余裕のあるシニア層をターゲットに据えることで、同窓会などのランチ宴会需要を取り込み、単価も高くなる傾向があるようだ。
ランチ宴会のニーズが高まっているのは、シニア層だけではない。きちり(本社・東京都渋谷区)が運営するカジュアルダイニング「KICHIRI」がランチ営業をしているesola池袋店、渋谷宮益坂下店ではここ1~2年で、ある客層の利用が増えている。それは小さい子供連れの母親たち。通称「ママ会」の需要だ。
KICHIRIではランチタイムも個室が使用可能なことが、子連れママたちの間で人気を呼んでいる。esola池袋店や渋谷宮益坂下店のランチ営業はクチコミで評判が広がり、「毎日のようにママ会の予約を頂いている」(きちり広報)。今では予約無しでは入れないほどだ。平日ランチタイムのエントランスはベビーカーでいっぱいになることも珍しくない。
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