リコール問題、タカタは何を間違えたのか 全米リコールめぐり深まる当局とのミゾ

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ホンダはなぜ”変心”したのか。ホンダノースアメリカが公表したリック・ショステック上級副社長のコメントでは、リコール拡大に踏み切る理由に「お客様の懸念」を挙げている。「安全」と「安心」でいえば、ホンダは土壇場で安心を取ったということになる。

 では、運転席側の全米リコールで問題は収束するのかといえば、それは難しいかもしれない。タカタに対する信頼感が毀損しているからだ。

直近では12月4日、トヨタがタカタ製の助手席用エアバッグの不具合で、「カローラ」」など19車種約18万台のリコールを国土交通省に届け出た。中国でも少数の対象があり、合計で約19万台となる。これは、今年の11月に岐阜県で廃車・解体時にガス発生剤の異常な破裂が判明したことを受けたもの。とはいえ、不具合の原因が不明なまま、正式なリコールに踏み切るのは異例のことだ。

説得力を欠くタカタの言い分

トヨタの届け出を受けてほかの自動車メーカーがどう対応するのかはまだ分からないが、新たなリスクが浮上したことで、同じタイプのガス発生剤を搭載している車両があれば、他社もリコールとする可能性が高い。この部品に関しては、ほかの国や地域も含めてリコールの対象になっていなかったものだ。

これまで明らかになっている範囲で、00年から07年まで米国やメキシコの工場で作られたエアバッグを膨らませるガス発生剤にいくつもの欠陥があった。安全だとして、リコール対象に含めなかったロットから不具合が発覚し、後にリコール拡大に追い込まれたケースもある。製造工程を改善したとする09年から14年に作られたものからも、組立の誤りによるリコールも発生している。

こうも次から次へと欠陥が出てしまえば、タカタの言い分は信用を得られない。「ここまでは危ないが、ここからは安全と言われても、もはや信じてもらえない」(国交省関係者)と日本の当局も手厳しい。

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