君、國を捨つるなかれ 渡辺利夫著

君、國を捨つるなかれ 渡辺利夫著

明治から平成まで、主役こそ代われどパワーポリティクスの交錯する東アジアは難しい地域である。だからこそ「坂の上の雲の時代」から今の日本が学ぶことは少なくない。大陸を舞台に列強と同盟し対峙した歴史に学ぶ中で、東アジアという特殊な地域では厳しく現実を直視すべきことが力説される。異質の日中韓がEUのようなポストモダンを追求するのは夢物語であるとし、地政学的アプローチの重要性が強調される。

史実と最近の事情がたっぷり盛り込まれて教えられるところが多い。満鉄総裁となった後藤新平が、「満州における文明の出会いのあり方は争闘によらず…親交による」べきだとした一節も台湾の成果を思えば軽々に読み過ごせない。東アジア共同体の幻想を捨てよ、日本は海洋国家とのみ連携せよ、という著者の持論は傾聴すべきものがあり、議論が発展して日本外交に寄与することが期待される。松本健一・関川夏央氏らとの対談も示唆に富む。(純)

海竜社 1600円

  

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。