食と農の問題に多方面から挑む
現代の農学教育が始動 【グローバルイシューの解決へ向けた人材育成】
龍谷大学

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世界人口増加に比例して食料不足や貧困問題が深刻化している。一方、日本国内でも食料自給率の低下や農家の高齢化、後継者不足など、食と農に関連する問題は枚挙にいとまがない。こうした社会的問題に立ち向かうべく新設される龍谷大学農学部。旧来の農学教育とは一線を画す教学体制に迫る。

現代社会が必要とする農学教育のため、
国内で35年ぶりに農学部を新設

文部科学省より2015年度開設認可を受けた龍谷大学農学部。国内で実に35年ぶりの農学部開設となる。今なぜ農学部を新設するのか。その答えは社会状況の変化にある。旧来の農学は農業生産者を主たる対象とし、生産性の向上に主眼を置いてきた。複雑化する現代の社会問題を解決するには、そうした知見のみならず、分配や経済の仕組みを考える社会科学的なアプローチや、グローバルな視野が必要となる。

例えば日本から遠く離れたアフリカの農産地で生産される食物は、その地の経済環境や自然環境にいかなる影響を与えているのか。そして生産者にどのような生活をもたらしているのか。生産物はいかに加工され、商品として流通し、消費されているのか。我々が日々口にする食品の安全性から地球規模の環境汚染まで、食と農が関連する分野は広範にわたる。裏を返せば、現代社会が抱える諸問題の大半に食と農が絡んでいるとも言えるのである。

また、現代の日本は経済効率を追求するあまり、大量の食品廃棄や産地偽装事件が社会問題化している。これらの事象は飽食ゆえに食物のありがたみを忘れた結果だと言えるのではないだろうか。100円でおにぎりが買える便利さは、それが消費者の元に届くまでの生産者の労苦を消し去り、植物や動物の「いのち」をいただいて生きるという意識を希薄にする。こうした時代、浄土真宗の教えを受け継ぐ龍谷大学が、生命への感謝を根本に置いた農学教育を行う意義は大きい。

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