今年こそ海外旅行できる?渡航にいくつかの条件 徐々に緩和の方向だが、気軽には行けない

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入国条件を把握したら、次に注意したいのがフライトの有無である。3月17日現在、国際線が就航している空港は、羽田・成田・関西・中部・福岡の5空港にかぎられているうえ、長いコロナ禍の間に、多くの路線が運休となってしまっている。さらに、直行便で飛べる都市はかぎられている。経由便となる場合、その経由地によっては、現地到着時の入国での隔離免除などの条件が異なる可能性があるので注意が必要となる。

コロナ前は、国際線の価格が史上最安といっていいほど安かった。筆者が2020年1月末に購入した、羽田発上海経由ロンドン・ガトウィック空港往復(中国東方航空)は、総額4万1440円だった。現在、ロンドン往復の底値は7万6000円台となっているほか、おしなべてコロナ以前より、航空券の相場はかなり上がっている。

現時点での東京発の各国への最安値は旅行比較サイト・スカイスキャナーなどで確認できる。例えば、ZIPAIRの成田発ホノルル往復が8月のお盆のピークでも7万4000円台など、路線を選べば、コロナ以前よりも安い航空券が見つかる。

とはいえ、中国経由の安い航空券がなくなってしまったこと、ウクライナ情勢により、ロシア上空を飛行することができず、北回りもしくは南回りを強いられて欧州方面へは時間がかかること、さらに原油の高騰にともない、燃油サーチャージの高値が予想されることなどから、しばらくは航空券の相場は高止まりする可能性が高い。

燃油サーチャージ上昇を回避するには?

こうしたなか、おすすめなのが、特典航空券の利用である。有償航空券が高くなったということは、相対的に特典航空券の利用価値が高くなったことを意味する。JALやANAなど、有効期限のあるマイルを持っている人であれば、コロナ禍の間国際線でマイルを消費せず、マイル残高が増えた人も少なくないだろう。

ユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空、アラスカ航空など、北米系のマイレージプログラムで貯めている人であれば、特典航空券に燃油サーチャージが課されないことが多いので、さらに好条件といえる。

いずれにせよ、相手国の入国時と日本の帰国時の計2回、PCR検査が求められることが多い。PCR検査と英文証明書の発行には1回1万円以上かかるケースも多く、その費用は短期旅行だと大きくのしかかってくる。また、日本出国前や短い現地滞在時間の間に陰性証明の検査などに時間をとられるのもマイナス面だといえる。

また、「コロナ後」の海外旅行で気をつけなければならないことが一点ある。それは無症状でも陽性と判定されるリスクである。相手国がPCR検査を要求する場合、日本出国前に実施することになるが、そこでかりに陽性となれば、旅行はすべて直前でキャンセルせざるをえない。

そのため、航空券やホテルはキャンセル料がかからないか負担額が少ないもののほうが安全だ。それ以上にダメージが大きいのは、日本再入国前に現地でPCR検査を行い、陽性が判明した場合だ。この場合もちろん日本に帰国できず、事情を職場などに伝えなければならない。

一方で、国内旅行については、都道府県民割を拡張させた「ブロック割」やGo Toトラベルなどの促進策が今後しばらく続くだろう。海外旅行には、「コロナ前」にくらべて費用がかかるうえ、情報収集や手間などが格段に増えた。だが、今後は、観光客誘致にむけて、検査免除も進むだろう。

当然のことながら、入国のハードルが低い国へ人が流れることになる。日本を含むおおむねすべての国で検査が不要となるまでしばらくの間、海外旅行はちょっと高嶺の花という状態が続きそうだ。

橋賀 秀紀 トラベルジャーナリスト

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はしが・ひでき / Hideki Hashiga

東京都出身の50代。早稲田大学卒業。「3日休めれば海外」というルールを定め、ほぼ月1回の頻度で海外旅行に出かける。訪問国は130カ国。共著に『エアライン戦争』(宝島社)など。『週刊東洋経済』で「サラリーマン弾丸紀行」を連載した。Yahoo!ニュース エキスパート。記事の内容についてのお問い合わせ・取材の依頼などについてはこちらまで。

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