「今年度に業績がV字回復する企業」ランキング 首位は今期の営業利益が前期比160倍に急回復

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『会社四季報』では毎号、ランキング特集を組んでおり、今号ではその1つとして「V字回復」ランキングを作成した。前期2桁以上の営業減益だった3~5月期決算の会社の中から、今期営業増益率が高い順にランキングしている。

今期100%以上の増益を達成する企業

新型コロナ感染は2021年度も収束しなかったが、社会的な対応も進み、多くの上場会社は増益基調へ復帰するV字回復の流れが見られた。注目点は、前期の減益分を今期の増益で取り返せるかだ。

例えば、前期50%営業減益で今期50%営業増益だとしても、前々期の営業益水準には戻らない。この場合、前々期の水準に届くためには今期100%の増益が必要だ。

ランキング首位の澤藤電機(6901)は、自動車部品や車載用冷蔵庫などを手がける。前期はコロナ影響による顧客企業の生産停滞で電装品が大きく落ち込み、営業益はわずか200万円だった。そこから今期は豪州向け車載冷蔵庫が伸びて急回復、前期比で160倍になる見通しだ。

ただ、前期の落ち込みが厳しく、発射台が低かったため、過去5年のコロナ前直近ピーク営業益6億7100万円(2019年3月期)と比べると約半分の水準にとどまる。

2位の高松機械工業(6155)は、中小型NC旋盤の中堅。主力の工作機械が国内、アジア、欧州で回復する。今期は営業利益が前期比で150倍となる見通しだ。ただ同社も、過去5年のコロナ前直近ピーク営業益23億2900万円(2019年3月期)にはまだ遠く及ばない。

コロナ前水準を超える利益で急回復するのは、大阪を地盤に個別指導塾を展開する5位の成学社(2179)だ。個別指導の生徒数はコロナ禍から順調に回復。これまで集団教室の閉鎖を進めて運営効率が高まったことや、育成中の保育園事業で新規開設がなく費用が減ることも寄与する。過去5年コロナ前の直近ピーク営業益3億8400万円(2019年3月期)も軽々と上回る見通しだ。

(本記事は会社四季報オンラインにも掲載しています) 

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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