ホンダの「遠隔操作・分身ロボット」は何が凄いか ASIMOから生まれたHondaアバターロボットのワザ

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しかし、ASIMOで培われてきたロボティクス技術は、新たな技術として活用され、形を変えて昇華される。ホンダは世界中にいるASIMOファンに対し、「今後は、多様な能力を持つ2足歩行の人間型ロボット(ASIMO)1体ですべてをサポートすることにこだわらず、役に立つ目的を絞り込み、個別の機能を持ったさまざまなロボットで、時と場合に応じて人の役に立つという、次の一歩を踏み出します」とする、熱いメッセージを送った。

冒頭、HondaアバターロボットはASIMOから生まれたと述べた。

「Hondaアバターロボットは4次元モビリティとしての分身ロボットです。具体的には時間、場所、空間、そして能力の制約に縛られない、自身を拡張するロボットのことで、これにより人は活躍できるフィールドや時空が大きく広がります」

これは歴代ASIMOの開発に携わり、Hondaアバターロボットの生みの親である吉池孝英氏(本田技術研究所・先進技術研究所フロンティアロボティクス研究ドメイン統括エグゼクティブチーフエンジニア)の言葉だ。

Hondaアバターロボットが目指す姿とは?

クルマやバイクが平面を移動する2次元、航空機(HondaJetやHonda eVTOL)が空間を移動する3次元とするならば、アバターロボットが目指す4次元とは、時空を超え、自分(行動を起こす人)の分身となって人や社会の役に立つことを示す。

では具体的に、Hondaアバターロボットが目指す姿とは何か? 吉池氏の発言に「時間の拡張」があったが、これは現場に人がいなくても遠隔地にいるHondaアバターロボットにより高い専門性が発揮されることを示す。この実現により、たとえば日本にいる医師が海外で高度な医療が行えたり、特殊な工業製品などのメンテナンス分野での活躍が期待できたりする。 

さらに吉池氏からは「場所と空間の拡張」が示されたが、これは人が入り込みづらい環境で活動する、たとえば宇宙空間や、人に害が及ぶ化学プラント設備内などでの活躍を想定している。

こうした拡張の実現には、どんなロボティクス技術が必要なのか? 

「離れた場所や危険な場所で分身ロボット(≒アバター)として機能させるには、自分がその場にいるかのように手を使い、物が扱えることが重要です」(吉池氏)

次ページ要は「手」
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