レクサスはなぜクーペ「RC」を出したのか いまどき2ドアの新型高級車が果たす役割
ひと昔前までは国内新車の「鉄板」だったミニバンの販売も一部車種を除いて陰りがみえる昨今、「じゃあ売れているクルマは何?」と問われれば、いわゆる「エコカー」と軽自動車ということになるわけです。
で、前者の側も現況はモデルライフ末期のトヨタ自動車「プリウス」よりむしろ軽便な「アクア」、そしてホンダ「フィット」といったハイブリッド車(HV)が趨勢であることを鑑みると、日本市場で求められているクルマの大勢は「200万円以下のちっちゃいやつ」と括ってもトンチンカンな筋ではないでしょう。
そんな中、車両本体価格が565万円からの2ドア高級車が販売されると聞けば、「それ誰が買うの?」と心配になってしまいます。ましてやそれが日本のメーカーの製品といえば、「なんでそんなことになってんの?」と訝しがるのも不思議ではありません。実はこれ、トヨタのアッパーブランドであるレクサスの「RC」という10月下旬に発売されたばかりの新型車の話なんですが。
立派な4ドア車がつくれるサイズ
全長4700ミリメートルくらいといえば立派な4ドアサルーンがつくれるサイズですが、贅沢にもそれにクーペのデザインをあてがったRCのライバルはといえば、ドイツの3大プレミアムブランドのモデル「BMW4シリーズ」や「アウディA5」あたりが挙げられます。メルセデス・ベンツに至ってはそれらを挟み込むように「Cクラス」と「Eクラス」、2種類のクーペを並べているくらいですから、実はこのカテゴリー、メーカーにとっては秘かに金ヅルなのではないかとも伺えるわけです。
が、実際はそんなことはない。名前を挙げたこれらの2ドアクーペたちが売れる台数といえば、新車効果のない平常時で合わせて月間300台ほどでしょうか。ドイツ3社の国内販売店舗(ディーラー)数は合わせて約600くらいですから、ざっくり言えば半数の店舗で月1台売れるか否か。12月に大間でマグロ釣ったような縁起物・・というには些か大袈裟かもしれませんが、残念ながらセールスマンに与えられる報酬は、普通のクルマと大差ありません。
一方で、ユーザーは並ならぬ決意と嗜好をもってそれを買おうというわけですから、仕様の発注には時間も掛かるわけで、基本的に仕事の手離れは悪い。現場的には「めんどくせークルマ」ということになるかと思います。
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