紙・板紙の生産、出荷は戦後初の3年連続前年割れ、需給の本格回復はまだ遠い

業界団体である日本製紙連合会によれば、2003年の紙・板紙内需(国内出荷+輸入)は、前年をわずかながら上回った。しかし、紙・板紙の生産、出荷はそれぞれ1.1%減、1.4%減と前年を割り込んだ。これは、2002年末の洋紙価格修正を契機として低価格洋紙の流入が急増し、輸入が19.7%増と過去最高を記録したため。生産、出荷が3年連続減少するのは、戦後初のことだ。
 洋紙は、チラシ、カタログ等の堅調を背景に塗工紙の内需が3.5%増と伸びたが、新聞、印刷・情報、包装、衛生といった各品種が軒並み出荷、生産とも減少した。輸入紙の攻勢を受け、洋紙市況は大手メーカーの減産により維持されてきた状況で、秋口からは一部価格の弱含みがみられた。一方、板紙は、通販・宅配向け好調、液晶テレビなど電気・機械器具向け堅調で、段ボール原紙の国内出荷は3年ぶりに増加した。板紙の需給バランスは逼迫しており、10月からの段ボール原紙や紙器用板紙の値上げは早期決着で落ち着いた。
 さて、昨年に猛威を振るった輸入紙増は今年も続くのか。ある業界関係者は、「今年は国内紙がやや盛り返すのではないか」と予想する。輸入紙の場合、発注から納入までに数ヶ月、時には半年もかかることがある。そのため、見込み発注を行う商社の読みが外れた場合、これが市中在庫に残るリスクが高い。「第2次オイルショックの頃は、在庫消化に3年を要した」との話もあるほどで、足元輸入紙流入が一服してきたのも、「市中に相当在庫が溜まっているはず」との読みだ。ただ、PPC用紙で輸入品が既に3割を占めるなど、品種によっては既に輸入紙が市場に定着している例もある。景気の緩やかな回復を背景に内需は増加すると思われるが、期待できる伸びはせいぜい1%程度。洋紙需給の本格改善はまだ遠い。今年も、王子製紙、日本ユニパックホールディングの2強を中心とした減産、市況維持努力が、紙・パルプ業界全体の収益を大きく左右する1年となりそうだ。
【水落隆博記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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