「写真を売る」副業で年収700万円の秘密 アマがプロに勝つ!稼げる写真の条件

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当初は京都に住んでいたこともあって、風景写真の撮影から始めた。だが、会社員として土日しか活動できないし、天気が悪ければ撮影そのものができない。「風景は趣味で写真を撮っているような方が、すごいカメラを持ち込んでやっている」のを見て、風景で勝負することはやめ、モデルを使った人物中心の写真を撮っていく方向に切り替えた。

竹内正人さんは東証1部上場企業のサラリーマンだった

竹内さんは「技術うんぬんよりもどんな写真を購入者が欲しがるか。売れるテーマをとことん探る。どの企画がどれだけ売れたかもデータベースをつくって把握する」。自分の趣味のために撮るのではなくて、顧客志向でのマーケティングを徹底的にやる。それが竹内さんの強みといえる。

「カメラの性能が高くなっているので、大した技術がなくてもそれなりの絵が撮れる」と謙遜するが、そんなことはない。竹内さんが今年、東京都心部に購入したマンションは、部屋の一角をまるで写真スタジオさながらに整え、プロ用の機材が一式ずらりと並ぶ。「撮影のコストを削れるとしたら場所代」ということで、自宅を拠点に活動している。そこにピクスタの協力で派遣されるモデルを呼び、売れ筋となりそうなテーマのシーン、カットをどんどん撮っていく。奥さんの全面的なアシストもある。

「頑張れば今後10年で2億円稼げる」

「勤めていた会社に定年まで働いたとして会社員として稼げるお金はざっと1億3000万円ぐらい。でも、ピクスタで頑張れば今後10年で2億円ぐらい稼げる可能性がある。だから専業でやろうと決めた」。竹内さんは言う。ピクスタの業績動向に依存するリスクはあるものの夢物語でもない。

撮影データは即時にパソコンへ転送。編集・加工していく

ピクスタは創業からの8年間でクリエイターに総額12億円超の報酬を支払っている。クリエイターのうち、竹内さんに次いで売り上げが大きいアマチュアカメラマンの2013年販売実績は826万円。アマチュア5位で489万円だ。

ネットを生かして個人のスキルを募り、ビジネスとする代わりに報酬をその個人に払うという新たな個人ビジネスは、ピクスタに限らない。クラウドソーシングサービスを手掛けるランサーズやニコニコ動画(ニワンゴ)のクリエイタープログラムなどだ。竹内さんのようにそれらをうまく活用すればアマチュアでもプロをしのぐことが可能な時代になった。

ただし、あくまでプロと同じ舞台に立てるだけであって、本当にプロに勝てるアマチュアはどの世界でも一握りしかいないだろう。それは竹内さんの徹底ぶりに見て取れた。筆者の取材に同行した風間仁一郎カメラマンは「腕前や手法はプロカメラマンそのもの」と評した。さまざまなテクノロジーの発達もあり、個人が大きな力を発揮できる時代になったとはいえ、「素人が片手間で大儲けできる」というような甘い話は転がっていない。

(撮影=風間 仁一郎)

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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