なぜDeNAの観客数は3年で42%伸びたのか 横浜DeNAベイスターズ・池田純社長に聞く

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 DeNAによる球団買収から3シーズン目が終了した横浜DeNAベイスターズ。順位は最終戦まで7年ぶりの4位浮上の可能性を残しながらも、惜しくも前年と同じ5位に終わった。だが、主催ゲームでの観客動員数は前年比9.7%増の156万4528人。オリックスバファローズが18.4%、広島東洋カープが21.7%と大きく伸びたため、12球団中の順位では8位へと、前シーズン比で2つ順位を上げただけだが、過去3年間での伸び率は約42%増と12球団中トップ。これまでの改革の軌跡と今後の課題、抱負を池田純社長に聞いた。
2012年シーズン終了後に1塁側内野中段に新設されたBOXシート。30代を中心に、新しい顧客層を開拓した成果がジワジワと観客動員数増につながっている(球団提供)

買収から3年で現場の意識改革に成功

――球団代表には志願して就任されたとか。

若干違いまして、買収当時私はDeNA本体のマーケティング担当の執行役員で、球団買収は本体のマーケティング戦略上、絶大な効果が見込めると考えていました。

池田純(いけだ・じゅん) 1976年1月生まれ。神奈川県横浜市出身。早稲田大学商学部卒。住友商事、博報堂を経て2007年1月DeNA入社。2009年4月執行役員マーケティングコミュニケーション室長就任。2010年4月NTTドコモとDeNAの合弁会社エブリスタ社長を経て、2011年12月から現職(撮影:梅谷秀司)

e-コマースでのグッズ販売、ゲーム、それに電子書籍で選手をモデルにしたマンガの提供などなど、IT企業である弊社が持つノウハウを活かせる機会はかなりあると思いました。

そもそも当時のDeNAは認知度も低かったですから、社名の認知度や事業内容への理解度を上げるうえでも大いに期待できる。そこで、「球団を使ったマーケティングの全権限を下さい」と言ったんですよ。そうしたら、球団社長をやれという話になったんです。

――着任直後の第一印象は。

驚きました。事前に調べようとしてもとにかく情報がない。プロ野球のビジネスとはこういうもの、ということが書かれた書籍も少ないし、何がビジネスのカギなのかもわからない。

出ている数字も極端に限られている。そもそも実際にプロ野球ビジネスに携わっている人の数が極端に少ない。

その少ない人たちからも、実際にプロ野球ビジネスに携わっていない人からも、プロ野球球団を買うということは、赤字を許容しないとダメとか、黒字、黒字と言ってはいけないといったアドバイスを受けるわけですよ。

――着任後、最初に手がけたことは?

現場の意識改革です。とにかくまず組織と文化の改革がポイントだと思いました。健全な経営を目指すのだということ、そのためのKPI(重要業績評価指標)は何なのかということを社員全員が理解し、共有できる会社に、この3年間で生まれ変わったと思います。

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