とにかく勝ちにこだわる人の視野が狭くなる理由 セレンディピティに恵まれる人の人生の捉え方

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良い可能性を見出すコツについてご紹介します(写真:takeuchi masato/PIXTA)
人生において重要な転機となるようなチャンスが、他の人よりも頻繁に巡って来るように見える人と、そうでない人はどこが違うのか。
その秘密を解き明かし、幸運なサプライズの頻度を増やし、それを良い結果につなげるフレームワークをまとめた本『セレンディピティ: 点をつなぐ力』がついに刊行された。
経済学分野で世界トップクラスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で博士号を取得し、起業家としても活躍する著者が書いた同書から、当初は見えていなかった良い可能性を見出すコツについて、抜粋・編集してお届けする。

「予想外」のことは頻繁に起きている

私たちは直線的(計画どおり)にモノを考える傾向があるために、予想外のことが起こりうる可能性を過小評価しがちになる。しかし、私たちが気づくかどうかにかかわらず、予想外のことは頻繁に起きている。

『セレンディピティ 点をつなぐ力』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

セレンディピティがいつでもどこでも起こりうることに気づけば、人生を一変させるような出来事から日常のささやかな改善まで、さまざまな可能性が生まれる。

私の学生時代の友人は「何だか起こりそうもないことが起こりそうだ」とよく言っていた。

当時は謎めいたことを言うなとしか思わなかったが、ずっと後になって、その意味がよくわかるようになった。予想外のこと、ありそうもないこと、とんでもないことはしょっちゅう起こる。

重要なのは、それが有益な場面でそれに気づくことができるのか、それをつかみ、育むことができるかだ。

私はかつてイギリスで交渉術の授業を担当していたとき、こんな課題を出した。

あるガソリンスタンドのオーナーが、大手の石油会社に自分のスタンドを売却しようとしている。オーナーは最低でも58万ドルで売りたいと考えているが、石油会社がそのスタンドを買うのに出してもいいと思っているのは最大50万ドルだ。

両者がこのスタンスに固執したなら、交渉は成立しない。理屈のうえではどちらか、あるいは両方が立場を変えなければ交渉の余地はなく、成果は望めなそうだ。

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