若者がリムジンにはまる、「バブルな事情」 ある複数の条件がそろえば、若者は消費する?

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今の若者たちの親はバブル世代だ。そのため幼い頃からバブル時代の「いい話」をたくさん聞いて育ってきた。実際に、若者100人に「親にバブル時代のよい体験を聞いて、かつうらやましいと思っている」かどうかをアンケート調査したところ、7割の人が「うらやましい」と思っているという結果になった(右図を参照)。

しかし、現実には、今の若者の日常生活は質素で、普段から親世代ほどのぜいたくはできない。そこで、イベントのときくらいは派手な消費をしようと、局所的にぜいたくをしているのではないか(ちなみに、若者100人へのアンケートによると、イベント時に使用できる金額は5001~7000円が最多だった)。

実際にどのような「いい話」を聞いたのか。アンケートをとった中で「うらやましいと思っている」と回答した、ある大学3年生(20歳、女性)に直接、尋ねてみた。

彼女は母親(50歳)と仲が良く、母親が若い頃の話をよく聞くそうだ。たとえば「バブル時代は、男の人に買い物から食事、タクシーまで全部出してもらえた」といった話を聞いており、「そういう感覚を、一度でいいから味わってみたい」と冗談交じりに話してくれた。

前出のA~Eさんにも聞いてみると、ほとんどの人から同じような「うらやましい」発言があった。

「お父さんが若い頃に3カ月で1000万円稼ぎ、遊びで2カ月で使い切ったといった話を聞き、うらやましいと思ってきた」(A君)。「母親の時代の結婚式はとにかく豪勢で、登場は高級リムジン。演出でドライアイスを使っていたり、料理は一流シェフのフルコースと聞いて、すごいと思う」(Dさん)。「ごく普通の家庭だが、父親は趣味のバイクを3台も所有。若い頃につるんでいた仲間と今でもツーリングしたり、おカネをかけつつ楽しく遊んでいると思う」(C君)。

親から若い頃の話を聞いたり、現在でも時折、バブリーな消費行動をしているのを垣間見た若者が、ぜいたくにあこがれたとしてもおかしくはないのではないだろうか。

そして第2には、集団で過ごしたいという強いニーズだ。ぜいたく消費をしたいというだけなら、高級ホテルでの食事や、高価なブランド物を身に着けるなど、いくらでも手段はある。それなのに、リムジン女子会や、ロンドンバスでパーティといったパーティが目立つのは、大人数や仲のいい友達とみんなで楽しく過ごしたいという、若者ならではのニーズがあるからだろう。

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