ミスド「高級チョコブランド商品」人気の理由 「ヴィタメール」の日本限定ケーキをイメージ

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「感染拡大が始まった2020年年明けは一時的な休店、営業時間の短縮、イートインスペースの閉鎖等で影響を受けたものの、商品をしっかりと出し、テイクアウトに力を入れたことで結果的には増収となりました。また、2021年4月からはネットで注文して店舗で受け取れる、ミスドネットオーダーを開始しています。こちらもコロナ禍での売り上げアップに貢献していると考えられます」(広報部)

2022年第2四半期(2021年4月1日〜9月30日)の売上高は、前年同期比24.9%増加の199億1500万円となっている。

話をまとめると、商品の見直し等、以前から進めてきたブランド価値アップの取り組みが実を結びつつあったことに加え、さらにコロナ禍で高まったテイクアウト需要の波にうまくのれたことが、売り上げ伸長の理由と言えそうだ。

なお、2021年より開始したミスドネットオーダーは、当初当日販売分だけに限られていたものの、11月からは日時指定予約が可能となっている。misdo meetsをはじめ、すぐに売り切れてしまい、なかなか入手しにくい人気のドーナツは、この日時指定予約を利用するとスムーズに購入できるかもしれない。

1971年4月に日本1号店を開業

実は2020年、50周年を迎えていたミスタードーナツ。フランチャイズビジネスを学ぶために渡米していたダスキン創業者の鈴木清一氏が、ミスタードーナツ・オブ・アメリカの創始者ハリー・ウィノカー氏と出会い、そのおいしさに感動したことが、異業種参入のきっかけとなった。また、事業提携を決断する際には「多くの人々や仕事に携わる人々の活躍や成長のチャンスを」と考えたのも理由という。アメリカ・ミスタードーナツとの契約を結んだ翌年、1971年4月に、大阪の箕面に1号店を開業した。

長く続くブランドでは、保守と革新のバランスが難しい。同チェーンではドーナツ生地へのこだわりを核にしながら、他社とのコラボなどを通じて変化を取り入れようとしているように感じられる。

また店内調理を基本とするため、スペースが確保できる路面店を中心に展開してきたため、駅ナカなどは出店空白地域となっていた。これについても、品質へのこだわりは残しつつ、変化を取り入れている。

これまで展開してこなかった、駅ナカへの出店を進めているミスタードーナツ。写真はekimo梅田ショップ(写真:ダスキン)

駅ナカなどに対応した小さな店舗の出店で、空白商圏への展開を検証しているというのだ。これらにおいては、製造を一手に行う「マスターコントロールキッチン」を活用する。マスターコントロールキッチンは現在、大阪で試験運用されており、梅田や新大阪といった駅ナカの店舗へ商品の配送を行っているという。

50年という節目を通過した今、大きく変わろうとしているミスタードーナツ。挑戦は始まったばかりだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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