ファンド傘下で出直しのすかいらーく、脱創業者経営への試練《新しい経営の形》

ファンド傘下で出直しのすかいらーく、脱創業者経営への試練《新しい経営の形》

6月上旬、東京都千代田区紀尾井町のホテルニューオータニで、一人の人物の「お別れの会」が催された。来場者は1000人超。元首相の森喜朗、セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文、イオン社長の岡田元也、ワタミ会長の渡邉美樹……。そうそうたる顔ぶれがしのんだ亡き人物こそ、すかいらーく創業者で、39年間同社の社長を務めた茅野亮(たすく)だ。

茅野は享年75歳。創業一族である横川四兄弟の二男(茅野のみ親戚へ養子に出されたため、名字が異なる)として、主に財務畑で腕を振るった。「外食産業」という言葉すらなかった時代、茅野は生命保険を担保に金融機関から運転資金を借り入れることを兄弟に呼びかけ、実行した。前身のことぶき食品時代から、すかいらーくを外食業界の最大手にまで育て上げた当事者だ。

茅野が亡くなる約半年前。2009年10月末をもって、すかいらーくから創業ブランド「すかいらーく」が消滅した。1号店の国立店を皮切りに、ファミリーレストランの草分けとして全国展開した同ブランドは、1990年代のバブル崩壊で業績が悪化。時代の要請に沿い、以後、撤退や低価格業態「ガスト」への転換を進めてきた。そしてようやく、最後の1店の閉店を迎えた。

もはや過去の栄光である「すかいらーく」に執着している場合ではない--。そう決断を突き付けたのが、06年7月のMBO(経営陣による買収)で株式を非公開化して以降、すかいらーくの親会社となったファンド陣営だ。現在の保有株式は、特別目的会社を含め野村プリンシパル・ファイナンスが実質77・76%、中央三井キャピタルが20・96%と、2社のファンドがすかいらーくの経営を掌握している(中央三井キャピタルは、09年8月に融資先の英投資ファンド・CVCキャピタルパートナーズから全株式を取得)。

取締役も多数がファンドからの出向だ(下表参照)。もはやファンドの意向なくしては、経営の舵取りはできない。現在のすかいらーくは、茅野が育ててきたかつての姿から様変わりしている。


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