夏目漱石「朝日新聞社長よりもスゴい」高年収ぶり その年収は現在の価値でなんと3000万円以上!

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「印税成金」と陰口をたたかれるほど儲けた夏目漱石の収入事情を紹介(写真:スズカケ/PIXTA)
作家・夏目漱石の年収は、朝日新聞社長を超える「驚くべき額」でした。彼のあまりにもズバ抜けた懐事情を、作家で歴史エッセイストの堀江宏樹氏の新刊『偉人の年収』より一部抜粋・再構成してお届けします。

大正時代に到来した“文学ブーム”の以前から、儲けに儲けていた夏目漱石。しかし、彼の収入の大部分は、小説が売れた金というより、朝日新聞社の社員としての稼ぎだったことはあまり知られていません。

教育者を辞め、作家業に転向してから、漱石の年収は現在の価値でなんと3000万円以上にも達していました。金持ちを嫌ったのに、なぜか自分が金持ちになってしまう……金運に恵まれすぎた夏目漱石の人生とカネに迫ります。

校長よりも高待遇だった教員時代

40歳で専業作家になるまでの漱石は、教師として生計を立てていました。帝国大学(現在の東京大学)卒のエリートであったからか、新人教師の時点でもかなりの厚遇を受けています。

約2年間の東京高等師範学校の嘱託教師を経て、漱石は明治28年(1895年)、愛媛県松山中学の教員になります。この時の月給は、校長が60円、漱石が80円でした。翌年には早くも熊本県の第五高等学校教授に転任、この時の月給は100円。当時の1円=現代の1万円とした場合、月給100万円です

漱石に高給が割り振られていたとはいえ、公立高校の先生の月給が100万円だった時代もあるのですね。この水準を維持できていたら、現代日本における教育現場の疲弊感は多少でも和らいでいたかもしれません。

ところが、熊本での高校教師生活が「くだらない」と感じた漱石はすぐさま退職してしまい、明治33年(1900年)にはイギリスに官費留学することになります。留学費用を国が負担してくれるだけでなく、なんと年間手当1800円(=1800万円!)まで与えられました。さらに漱石がいない間、彼の妻と子の生活資金として年300円(=300万円)が与えられていたというから破格の好条件です。

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