いつもと同じ選択を好む人の伸びしろが小さい訳 「前例踏襲」「これまで通り」に安住しない生き方

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では、多くの人はどのように意思決定をしているのか?──その答えは「パターンで決めている」ということになります。無数にある選択肢のすべてを検討して行動を決めているわけではないのは、日常よくある次のような場面のことを思い浮かべれば一目瞭然です。

「今夜、何を食べようか?」

何を食べるか、というのは毎日のように繰り返される「選択」の場面です。友人や恋人、家族と相談する場合もあれば一人で決める場合もあるでしょう。

いずれにしても、このとき、ありとあらゆるジャンルの料理を選択肢として思い浮かべる人はいません。外食する際にも、慣れ親しんだいくつかの店の中から選ぶことがほとんどでしょう。

「今日は初めての店に行ってみよう」

というときでさえも、エリアについてはあまり冒険しないものです。「渋谷で」「六本木で」「銀座で」など、普段の行動パターンの中で選ぶことになります。「こういうときは、これを食べる」、すなわち「渋谷→センター街→今日はちょっと寒いね→いつものラーメン屋」というふうにほぼ自動的に決まっていることすらあります。

もちろん、パターン化されたものがあるおかげで意思決定のコストを節約することができるわけで、その結果スピーディな決断ができるというのは、日常生活においては大きなメリットでもあります。膨大な選択肢の中から「今夜食べるもの」を毎日選び続けるなんていうことは、実際はできることではありませんし、そんな必要もありません。

ただし、「知らず知らずのうちにパターン行動をしている」と知っておくことはとても重要です。わかったうえでパターン化を利用しているのか、無意識にパターン化に組み込まれているのか。この違いはとても大きいと思います。

僕たちの脳には「省エネし過ぎるクセ」がある!?

日々の行動だけでなく学習のプロセスや能力開発、キャリアの選択などの場面でも、ほとんどの行動はパターン化しています。まずはそのことを知っておくこと。

そして「このパターンは(今の自分にとって/本来の目的にとって)正しいのか?」をチェックする習慣を持ちたいものです。

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