「メガトン級ムサシ」遊んで見えた2つの問題点 本領発揮は「今後のアップデート」からか?

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「ストーリーがチュートリアル、クリア後が本編」と考えるべきなのかも知れないが、それであればメインストーリー上で属性をしっかり考えてカスタマイズしないとクリアが困難なミッションを作るなどして、カスタマイズせざるを得ないように誘導するべきであろう。

しかしそうした要素が無かったために、僕には複雑なカスタマイズ要素を学ぶ事ができるチュートリアルとして、ストーリーが機能しているようには思えなかった。

ストーリーをクリアするだけでは多様なカスタマイズ要素の2割程度しか体験できず、クリアしたらそのままゲームを辞めてしまう人も少なくないのではないか。だとしたら、せっかくメガトン級ムサシというゲームをプレイした人に、魅力を伝え切れておらず、非常にもったいないと思う。

ここまでで述べた点以外にも気になることがありすぎる。2期以降が決まっているアニメの1期分のストーリーという事で、現状ではストーリーが完結しておらず、尻切れトンボであること。

アナザーストーリーを進めるためのアイテム入手がひたすらマップを歩き回って探すという、地味で不親切な入手方法であること(バージョン1.2.0で「コレクトリスト」というヒントが追加された)。

様々なパーツを開発する「回路開発」が『ファイナルファンタジー10』でいうところのスフィア盤のような方式なのだが、「こっちに進めば近接特化」「あっちに進めば属性強化」のような誘導線が見えないので、適当に進めるしかないということ。細かい点で「惜しい」部分がたくさんあって、ちょっと不満が残るゲームである。

今後のアップデートに期待

だが、それでも僕はメガトン級ムサシというゲームは十分楽しめる良質なゲームだと思う。

ストーリーも単純な勧善懲悪では無く、人類と異星人の間で様々な考え方が交差する人間ドラマありの展開。レベルファイブがちゃんとした「令和時代のロボットアニメ」をクロスメディア展開で作りたいことはよくわかる。

またゲームでは主人公ではないキャラクターたちにスポットを当てるアナザーストーリーもしっかりと作られている。

ローグの操作性も良く、シンプルな操作でも敵をバッタバッタとなぎ倒すロボットバトルを楽しめる。必殺技などの演出もゲームの邪魔をしない程度に軽快だが、決して地味では無い。しかもちゃんと強いので必殺技感がある。

メガトン級ムサシは、細かな不満点を除いて、ゲーム全体を見渡せば、高いレベルにある楽しいゲームである。今後のアップデートが楽しみだ。

赤木 智弘 フリーライター

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あかぎ ともひろ / Tomohiro Akagi

1975年栃木県生まれ。2007年にフリーターとして働きながら『論座』に「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、話題を呼ぶ。以後、貧困問題などをテーマに執筆。主な著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』などがある。

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