先手対応に綻びも「第6波突入」岸田氏を待つ難題 米軍基地への対応では「外交的ミス」と批判の声

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選挙戦の最大の注目点はやはり、与党の獲得議席数だ。今回参院選の改選は124議席(選挙区74、比例代表50)で2016年と比べて3議席増となる。これに神奈川選挙区の欠員1を補充する「合併選挙」(任期3年)が加わるため、与野党は125議席を争うことになる。

今回参院選から総定数は248議席となり、過半数は125議席。与党の非改選は69議席(無所属3氏を含む)のため、今回与党が55議席獲得すれば参院での与野党逆転は避けられる。

自民党の茂木敏充幹事長も5日の記者会見で、「与党が非改選を合わせて過半数を維持できるかが勝敗ライン」と明言した。

しかし、「参院選で安定政権を目指す」という岸田首相にとって、本当の勝敗ラインは改選過半数(63議席)となるのは間違いない。衆院選と違って参院選は政権交代に直結しないが、与党での改選過半数確保は「国民が岸田政権を支持した」ことになる。

逆に立憲民主や維新が目指す「野党で改選過半数」となれば、参院全体での与野党逆転とはならなくても、岸田首相にとって「政治的敗北」となる。突き詰めれば、改選過半数獲得が参院選後の岸田政権安定化への前提条件で、それが達成できれば、黄金の3年に手が届き、参院選後の党内閣人事でも「首相の思い通りの陣容にできる」ことになる。

「よほどのことがない限り安泰」との声は多いが…

そこで具体的な各党の集票戦略などをみると、強固な支持組織を持つ公明党は13~14議席獲得が確実視される。このため、計算上は「自民が50議席を上回れば改選過半数確保」(選対幹部)となる。

現状で自民は複数区(2~6議席)で15議席前後の獲得が有力。定数2増の比例区は「最低でも18議席」(同)を見込む。このため最大のポイントとなる与野党対決型の32の1人区でも、半分以上の確保で目標達成となる。

1人区の勝敗は前回が自民21議席、前々回が自民20議席で、「よほどの逆風が吹かない限り、20議席以下はありえない」(同)と胸を張る。一方、共産党との共闘関係で揺れる立憲民主にとって、第3極を目指す維新、国民民主両党も含めた全1人区での統一候補擁立は難しく、「1人区での野党統一候補圧勝は困難」(選挙アナリスト)との見方も多い。

このため、与党内では「よほどのことがない限り、参院選後も岸田政権は安泰」(自民幹部)との声が多く、それが自民党内の反岸田勢力の台頭を防いでいるのが現状だ。ただ、年明け以降の政権運営にはそうした状況を一変させかねない政治的課題も目白押しだ。

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