今年の日本株は後半大きく巻き返すかもしれない 前半は日経平均もNYダウも冴えない展開に?

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さて、2021年も結局は日本株がほかの主要国株に対して劣後する展開となった。2021年の主要先進国の株価指数上昇率を見ると、フランスCAC40が29%、アメリカS&P500が27%、ドイツDAXが16%、イギリスFT100が14%だ。それに対してTOPIXは10%の上昇と劣後し、日経平均に至っては5%にすぎない。

世界の株価指数で騰落率ランキングをとると、日経平均はワースト10位となっている(世界の50指数の騰落率ランキングによる)。

日本株停滞の構造は変わらず

前回のコラム「日本株が低迷しているのは岸田首相のせいなのか」で、こうした日本株の不振は「岸田政権のせいだ」とばかりは言えず、むしろ日本企業の収益性の低さと、その背景にある日本企業の経営や組織の問題などが要因だろう、と述べた。

例えば、日本の企業経営(すべての日本企業がそうだとはいわないが)を眺めると、これまでと同じことをだらだらと進めているだけで、時代や技術の変化についていくことができず(もともと変化についていこうという覇気も乏しく)、新しい挑戦を行うこともせず、衰退の道をたどっているように見える。そうして企業が売上高を大いに増やすことができなければ、労働者に渡す報酬の原資も増えず、それが個人消費も圧迫してしまう。

「思い切ってリスクをとって新しいことに挑戦してみよう、それで失敗したらまたやればいいではないか」という気概が、企業経営のみならず、企業組織にも、管理職にも社員にも、さらには企業の外側を見ても国民全体にも乏しすぎる。

また日本社会としても、挑戦して失敗した人を無謀だと冷笑し、逆に大いにリスクをとって巨額の収入を得た人をねたむ、という風潮が強いように感じる。ほかの人と変わった尖ったことに、個人でも企業内でも挑戦しようとすれば「周囲と同調せよ、空気を読め」という圧力も依然強い。

金融面に話を限っても、リスクを取る個人や新興企業に、融資も投資も行われにくいといった状況がなお指摘できる。こうした諸問題の背景には、教育のあり方もかかわっているのだろう。

海外投資家から、「日本においては、アメリカのGAFAMのように、ベンチャーから巨大になった企業が現れ、それが世界を牽引する大企業になるということは、昔のホンダやソニーならともかく、今は無理だよね」との声を多く聞く。そうした日本の構造的な劣後が、結局、日本株の劣後に表れていると解釈できるだろう。

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