「就活エリート」の高笑い、「普通の学生」の涙 就活「2016年問題」で得する学生、損する学生

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学生の運命を分ける2つの軸

学生の運命を分けるひとつ目の軸は、「上位校」か「中下位校」かです。

ここで言う「上位校」というのは、企業の採用担当者が「この大学から候補者を選ぶと、最終的に試験や面接を通って、内定までたどり着いてくれそうだ」と期待している大学だと考えてください。

「上位校」に所属しているか否かを学生のタイプ分けに使っているのは、今回の就活後ろ倒しで、企業が水面下の採用活動を強化することと密接に関係しています。なぜならば、水面下の採用活動で企業が強化してくるリクルーターは、対象者を選ぶ際に、上位校の学生にターゲットを絞ってくると考えられるからです。

つまり、所属している大学によって、企業の採用担当者とのコンタクトの取りやすさが異なり、ひいては内定獲得の難易度が変わる傾向が、今回の就活後ろ倒しでより一層顕著になると予測されているのです。

ところで、学生に人気のある大手企業が考える上位校とは、実は驚くほど限定的です。東京では東京大学、東京工業大学、一橋大学の国立3校と、早稲田・慶応・上智の私立の3校あたりを指すことが多いです。これに、旧帝大と呼ばれる地方国立大学が加わる場合もあります。

ちなみに、会社によっては、これらに加えて「GMARCH」(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政の各大学の頭文字をとったもの)と、関西の有力私立大学4校(関西学院、関西、同志社、立命館)を「上位校」とするところもあります。ですが、ここ数年、これらの大学を重点ターゲットにする会社は、人気のある大手企業では減りつつあります

理由は、少子化で各学年の学生数が減っている一方で、上位校、特に早稲田・慶応の両校で学部の新設が相次ぎ、これら「超」上位校に通う学生の数が増えたため、それ以外の大学にまで手を伸ばす余裕がなくなってしまったからです。

さて、学生の運命を分ける2つ目の軸は、「就職意識が高い」か「就職意識が低い」か、です。「就職意識が高い」学生とは、早い段階から就活情報を仕入れ、しっかりとした戦略を練っている学生です。そういった学生なら、後ろ倒しによって就活がクローズドになることを察知し、公式スケジュールの前に企業との接点を作ろうとするでしょう。

一方、「就職意識の低い」学生は、このような活動は行わず、公式スケジュールどおりに活動します。つまり、企業が採用広報を始め、周りが就職活動を始めるまでは、とりあえず就職のことはほとんど何も考えずにいる人たちです。

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