割り切った操作性で一眼とコンパクト機のいいとこ取り--ソニーのミラーレスカメラ「NEXシリーズ」《東洋経済モノ奉行》

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--これだけの独創的な製品は、どんなチームで生み出すのか。

100人に満たない。数十人といったところ。事業部のフロアの一角を立ち入り禁止にして、事業部の中でも開発情報をクローズドにして進めた。ソニーのデジタルカメラビジネスが大きくなるとともに、組織も大きくシステマティックになっている。
 
 でも、短期間で新しいものを作るにはもっと違う組織形態で、コミュニケーションを密にして集中する必要があった。だから上には「好きなようにチームを作らせて」とお願いし、企画担当からソフトエンジニア、回路基板を作る人だとか関係者すべてを集めて、何かあれば全員集まって頭をひねった。

振り返れば、以前のソニーの製品開発はこんな雰囲気だった。ウォークマンだとか……。今回のやり方が既存のビジネスの組織立った手法との間で軋轢を生まなかったわけではないけれど、新しい商品なので、失うものはないと思い切りやった。


■「かつてのソニーの雰囲気の中でNEXは生まれた」と話す手代木統括部長


お勧め度は高い、だがリクエストも

取材と1カ月の実用を経て、記者のNEXに対するお勧め度はずばり「買い」。
 
 ただリクエストもある。本体の高性能さ、使いやすさを存分に堪能するには、交換レンズのバリエーションが不可欠だ。8月中旬現在、レンズは16ミリの薄型広角レンズ(パンケーキレンズ)と、18~55ミリのズームレンズの2種類のみ。
 
 9月には18~200ミリの望遠レンズも発売されるが、一眼レフのレンズラインナップには及ばない。既存のαシリーズ向けレンズを専用アダプターを使って接続することも可能だが、その場合はオートフォーカス機能が使えなくなる。ソニーによると、既存レンズのオートフォーカス機能を有効にする策は現在検討中という。検討結果に期待だ。
 
(奉行:杉本 りうこ =東洋経済オンライン)

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