歓楽街だった西川口「夜のタクシー今や激減」の訳 かつては「人が来る場所」だったのになぜ?

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2021年10月下旬、西川口でもチャイナタウン側とは別出口にある東口で、運転手と乗客が何か言い争いをしているのを見かけた。乗客はどうやら日本語を話さない外国人のようで、決済について何か確認をしているようだった。

数分間のやり取りがあったが結局客はタクシーに乗らず、その理由を運転手に話を聞いてみた。まだ歴3年だという中谷さん(仮名・50代)はここではよくあることです、と明かした。

「中国語だったので理解はできなかったですが、『PayPay』と言っていたので、電子決済で払えるか、という意味だったんだと思います。この場所で運転手をやっていると、必ず言われますね。でも、まだ会社が導入してないのでできないと言うと、乗らないことが大半です」

外国人の利用で助けられている面も

中谷さんは、日中は無線配車で西川口や蕨市周辺で客を拾うことが多い。コロナ前は進んで営業したエリアではなかったが、外国人の利用で助けられている面もある、と話す。

「コロナで約50万円のノルマが達成できない状況の中、このあたりの外国人の利用でだいぶ売上げが立ちました。川口市全般に中国人が多いと思われているけど、実際は蕨の芝地区や西川口周辺の青木、横曽根あたりに集中している。特に蕨なんかは、団地の7、8割が外国人居住者という場所もあるくらいだから。

だいたい団地は少しアクセスが悪いから、外国の方は『済生会川口総合病院』などの通院や緊急の際によく呼んでもらった。体感的には中国人の送迎に関しては、日本人に近い水準まで来ているとも思います。ただ、言葉や利用マナーの面などでまだまだ壁はありますが……」

筆者がこれまでタクシー取材を続けてきた中で、いわゆる「白タク」と呼ばれる違法タクシーは圧倒的に川口ナンバーが多かったことに興味を惹かれた。埼玉ナンバー全般に白タクは多いのだが、川口ナンバーの数は成田空港や羽田空港でも特段目を引いた。

次ページ明らかな白タクは見当たらないが…
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